2018年の発売開始から1年。
空撮ドローンの練習用として私も購入してみたRyze Techが開発しDJIが販売しているトイドローン「Tello」。
1万円台クラスのトイドローンのなかでは珍しく、500万画素のカメラを搭載しており、そこそこ綺麗な写真(静止画JPEG)と720pのHD動画を撮影することができる機体です。
重量も200g以下となっており、規制の影響を受けない使用が可能ですので、自治体や管理者が特に禁止していなければ、人気の少ない公園の広場などでもドローンの操縦練習を行うことができます。
私自身も発売後に購入し、1年ほどドローンの練習機を兼ねて空撮写真にも使用してきたので、Telloが写真用ドローンとして実際にどういったモデルなのかをレビューすることにしました。
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購入して1年使ってみたトイドローンとしての感想
発売当初からの人気の変化は
発売当初は品薄気味だったTelloですが、今は落ち着いておりドローンを扱うショップであれば「在庫がない」ということは少なくなりました。
2018年の5月ごろまで慢性的に品薄が続いた「予備バッテリー」についても問題なく入手できます。
もちろん、人気がなくなったわけではなく、ドローンの入門機・体験用のリーズナブルな機体として「定番の地位」を獲得した印象です。
当初はDJIから販売されたことと、Sparkのミニ版のようなトイドローンながら比較的上質なデザインから、「Spark並みの画像をトイドローンで撮影できるのでは?」と過剰な期待を寄せるユーザーも多かったようです。
実際にはあくまでトイドローンとしてバランスが良い機体という感じでしたが、非常に扱いやすいため多くの人にオススメできることは間違いありません。
通常はスマートフォンのアプリを使い、画面に表示される擬似スティックをタッチパネル操作で飛行させるのですが、ゲームパッドを使ってコントロールしたり、iPadなどで飛行プログラムを制作して飛行させたりも可能です。
昔でいうマイコンのロボットなどを使って遊んでいたユーザーなら、同じように熱中できるでしょう。
お子さんが電子機器の制御などに興味があるようなら、親子でプログラムを楽しむこともできるため、ハイテク玩具としては素晴らしい出来だと思います。
特にそういった使用をされる方には、「Tello EDU」という新型のモデルが発売されているので、そちらを購入することで、より楽しむことができます。
また、特にプログラムに興味のない方でも、個性的なデザインのドローンやアメコミファンの方には、映画アベンジャーズのアイアンマンスーツデザインのTelloもありますね。
Telloのフライト性能や反応速度は
トイドローンとしての機能や完成度はともかくとして、動力性能や反応速度、伝送(通信)距離などは並みのトイドローンと大差はありません。
スマホ接続のみの状態では、高度10mで20〜30mほど離れるとスマホにアラートが表示されます。
トイドローンでも専用の送信機を持つモデルは比較的伝送距離も長いことが多いため、操作可能なエリアの比較という意味ではTELLOは少ない部類になると思います。
実際にフライトさせてみると実感しますが、「安定性」に関していうと、ライバルとは一線を画するレベルです。
私の初ドローン(クアッドコプター)は自律制御や高度維持機能のないHubsan H107Cですが、当時ホバリングを安定させるまでに何十回も墜落させていた経験から、80g程度の機体でこの安定性は驚嘆しました。
とはいえ、逆にこれに慣れてしまうと操作が退屈ですので色々な飛行を楽しむことに特化するなら、他社のライバル機の方が良い印象です。
ただ、何度も安価なトイドローンでも何度も墜落させて、故障させると費用もかさみ挫折することもあります。
考えてみてください。5千円程度のトイドローンでも10回買い直すと5万円でsparkやbebop2が買えてしまうのです。
まず、初めてのドローンのハードルを低くする。そう考えると申し分ない選択になるでしょう。
反応速度やパワーはラジコンが好きな方で、他社のクアッドコプターを使用したことがある方や目視可能ギリギリの距離でも落ち着いて操作できる方なら、「Telloは安定はしているが鈍重」「伝送距離が短い」と感じる方が多いかと思います。
また、複雑な飛行を楽しむのであれば、「DJI Gamesir T1d」のような物理的なコントロールパッド(スティック)追加は必須といえます。
私は購入時に専用コントローラーが発売されていなかったことから、Bluetooth接続のPXN「Apple認証 IOS MFi ゲームパッド」を使っていますが、ゲームをしない方なら「DJI Gamesir T1d」が安くて専用となるため接続も安定していて使いやすいようです。
空撮機としてのTelloの性能は
写真(静止画)用として考えた場合、少し前のスマートフォンに装備されたカメラ程度の写真は撮影できます。
ただ、Telloのカメラは機体の前面に固定されているためチルト(上下)させて、真下を撮影したりすることはできません。風が吹いている状態では位置を止めるために機体が常に風上に向かって傾斜するため、写真の水平を取れないこともあります。
写真の画像サイズは2592×1936(72dpi)。フォーマットはJPEGのみとなります。
画素的には十分に余裕があるため、L版やKG(ポストカード)程度のサイズであれば問題なくプリントできる画質です。
動画については720Pの30fpsで条件が整っていれば悪くない画質ですが、スマートフォンとの距離が離れたり、機体の動きが速くなると急激に画質が落ちたりコマ落ちが防げない印象です。
特に機体ホバリング時にラダーによる旋回操作を行った場合、画面の繊維に制御が間に合わずブロックノイズが多く発生しているように感じます。
これは使用するスマホの機種や使用しているゲームパッドの種類などで、多少の差があるという情報もあります。原因はWi-Fiによる伝送のロスのようですので、別途Wi-Fi中継器などを使用すれば多少は改善されます。
Telloの写真画質を色々なシーンで確認してみる
Telloの静止画撮影画質は多くのドローンメディアやレビューブログなどで「悪くない」「なかなか良い」という情報が見られます。
ただ、youtubeなどで飛ばしている動画や映像は多々あるものの、実際に「Telloを風景写真撮影に使ってみた方」は意外にも少なく、WEB検索してもサンプルが足りないように感じました。
確かにTelloはトイドローンであって本格的な空撮用ドローンではないため、わざわざチャレンジする方は少ないのかもしれませんが、あまり画質や解像度にこだわらないならば安価なTelloでも空撮写真を楽しむことは可能です。
サンプルとして私自身が実際に日中から夕方、屋内まで色々と試した写真をアップしてみました。
記事中でもいくつか掲載し、残りはギャラリーでも掲載いたしますので、興味のある方は参考にしていただけると幸いです。
Telloで屋外撮影「昼」
晴れの日中に高度10mをホバリングして順光で撮影。
風が少しある程度ですが、日中の写真なのでシャッター速度も稼ぐことができ、大きなブレはありません。
ただ、断続的に草の葉が揺れる程度の風はありましたので機体がやや傾斜しており、カメラも斜めに傾いているのはご愛嬌。
解像度の問題もあり、遠景は塗り絵状態ですが、インスタグラムのフィルターなどを使用すれば、スマホで鑑賞するなら十分に使えるレベルですね。
こちらは少し日が傾いてからの順光撮影。
あらかじめ車のオーナーには許可(サイトに掲載もふくめ)をいただいて撮影しています。
ヒストグラムとExif情報がこちらです。
特に破綻している部分はないように思います。
カメラ機能(スペック)としては、ISO(感度)と電子シャッタースピード(露出)はオート、絞りはF2.2で固定です。
焦点距離は1.98mmという謎の数値。
82.6度の画角らしいので、35mmで換算すると24mm程度のようです。
ただ、実際に出力された画像は少し狭い印象を受けます。
元の画像をLightroomで簡単に補正してみました。
JPEGからJPEGなので、少し荒さが目立ちます。
Telloで屋外撮影「夕景の逆光」
続いて夕日の強い日差しを逆光撮影してみました。
絞り機能はなく、HDR機能もないJPEGですので仕方がありませんが、光源付近の白トビは大きいです。
ただ、その他の色味は悪くない印象です。
ヒストグラムはこのような感じ。
こちらは別の日の夕方、同じ場所で複数枚撮影してパノラマ合成したもの。
「太陽に少し雲がかかり日差しが緩和されている」、「無風である」など、撮影条件に恵まれていれば、Telloでもこの程度の写真なら撮影可能です。
ただし、撮って出しのJPEGだけでは難しいので、Adobe Lightroomで調整することが前提です。
自然に見せるためのレタッチの手間は一眼カメラのRAW現像するより難易度は高めです。
ノイズなどが許容できるなら、ポストカードにプリントするくらいは可能だと思います。
Telloで屋内撮影「夜間照明つき」
こちらは風景写真ではありませんが、宴会などでも撮影してみたい方などの参考に、ダイニングルームで家族写真の撮影を試した写真です。
ライティングは部屋にあった通常のシーリングライトのみです。
こちらが ヒストグラムとExif情報。
夜間の屋内での撮影ですので、1/25sとスローシャッター気味ですが、普通に古いスマホで記念写真を撮影したのと同じくらいの印象です。
パーティーなどでSNSに使用するセルフィーに使うイメージで考えるなら、十分に使えそうな感じですね。
最後に
実際にシチュエーション別に撮影した画像を確認してみると、1万円程度で購入できる100g弱のトイドローンとしては、非常に綺麗な写真を撮影できることが実感できました。
「作品を撮影するためのドローン購入」としてはどうかと言われると、ブレの補正、カメラアングルの変更やダイナミックレンジ、解像度、風に対する弱さ、電波の到達距離の問題など多々あるため、実用的ではありません。
それでも初めてのドローンとして操縦の練習を行なったり、空撮を体験したりするには十分に楽しめる機体といえるでしょう。
逆に写真が趣味ではない方がオモチャとしてドローンに興味を持って、購入した方にとっては想像以上に綺麗に撮れると驚くはずです。
練習しながら色々とチャレンジするという楽しみ方もありますので、画質にこだわらず、空撮に親しむきっかけにはなるはずです。
Telloで撮影した写真に興味のある方はこちらにまとめておりますので、ぜひ参考にしてください。
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Rize tech (DJI) Tello Aerial photography
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