すっかり気に入って常備しているPanasonicのLUMIX DMC-GM1。
6月半ばまでの5ヶ月間はGF2で使用していたパンケーキレンズの「LUMIX G 14mm F2.5」と「G20mm F1.7」を使用していました。
この組み合わせは非常に軽量&コンパクトで、携帯性に優れているところがメリットでした。
あくまでお散歩や通勤などで携帯するサブ機としてのポジションですので、この2本で特に不便に感じることはありません。
ところが6月後半に義弟の結婚式での撮影を頼まれ、チャペルでの式と宴会場で撮影を請け負うことになりました。
ゲストとしてのスナップ撮影であればよかったのですが、スタジオ撮影はプロのブライダルカメラマンが担当するものの、式と披露宴は私がメインで別途ブライダルカメラマンは頼んでいないとのこと。
普段は風景・ネイチャーの撮影がメインなので、ロケハン&打ち合わせなしで失敗が許されないブライダルでの撮影はなかなかハードルが高いです。
ひとまず撮影機材のメインは「E-M1 markII」にレンズは「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」で撮影。
披露宴のスナップやE-M1 markIIがビデオ撮影中、サブで静止画を撮影する部分はGM1で撮影することにしました。
そうなると普段は特に気にしていなかった「LUMIX G 14mm F2.5」と「G20mm F1.7」のAFスピードやフォーカス時のモーター音など、少し不安な部分が目立てきます。
そこで、レビューなどでも高評価な純正レンズ「LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH.」。
通称パナライカの15mmを導入してみることにしました。
LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH.とパンケーキレンズ2本を比較
実際に3つのレンズを並べて比較してみます。
LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7とパンケーキレンズでサイズと重量の比較
15mm / F1.7はパンケーキレンズではないので当然ですが、他の2本に比べて少し長さがあります。
とはいえ、20mmと比較して1cm程度の違いですので、ポケットに入れるなどの用途でなければそれほど気になるものではありません。
重量は115gで20mmと比較してプラス15gです。リニューアルした2型の20mmは85gとなりますので、もう少し差があります。
レンズの径は「15mm F1.7』と「14mm F2.0」は2mm差で大きな差はありません。
ちなみに「20mm F1.7」は63mmと少し太く、GM1に装備した際には別売りグリップを装備していない時にはレンズ底がフロアに接触し、ボディ前部が少し浮いた形になります。
一応、レンズのフィルター径は全て46mmなので、フィルターを使用する際は共有できます。
LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7とパンケーキレンズで機能と価格の比較
他2本のパンケーキレンズとの大きな違いは、レンズ横にAF(オートフォーカス)とMF(マニュアルフォーカス)を切り替えるスイッチが装備されていること。
絞りを変更できる「絞りリング」が装備されている部分があります。
このリングがあることで、GM1などのボディ側にダイヤルが1つしかない機種でも、レンズ側で絞りを変更を行いつつボディ側で露出時間を設定するような、マニュアル撮影やAモード撮影により対応することができます。
なお、「LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7」はライバル的なレンズとして、オリンパス(OMシステム)の「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8」もあり、こちらもなかなか好評なレンズなのですが、今回はGM1での使用をメインで考えているので候補から外しました。
価格については「LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7」が5万円ほど、他の2本は3万円前後で購入できます。
単純な価格で比較すると他の2本に比べ高価ですし、5万円というとカメラ初心者の方からすると「高い」という印象を受けるかも知れません。
しかし、ゴーストやフレアの発生を抑えるナノサーフェスコーティングが施されていたり、ライカの基準を満たす全体の描写の良さに加えて、絞りリングの有無やAFの速度、金属筒の質感などから考えると納得できる価格と言えます。
また、フルサイズのカメラのレンズ価格を知っていれば、個人的には格段にリーズナブルな印象を受けます。
市場価格(中古) | サイズ(径×長) | 重量 | |
LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 | 5万円(3.5万円) | 57.5x36 mm | 115g |
LUMIX G 14mm F2.5 | 2.5万円(1.5万円) | 55.5x20.5 mm | 55g |
LUMIX G 20mm F1.7(2型) | 3万円(1.5万円) | 63x25.5 mm | 100g(85g) |
LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7の描写は
旅写真などで風景を切り取る場合、少し古いスマートフォンのレンズと同じくらいの画角で使いやすいです。
GM1はボディ内の手ぶれ補正機能がありませんが、日中であればF8程度に絞り込んでパンフォーカスで撮影することも特に問題ないでしょう。
屋内の吹き抜けから木漏れ日の注ぐシーン。
やや逆光で暗部のツブレの発生や光源部でコントラストが失われやすい場面ですが、暗部も十分に階調が残っているのでJPEG撮って出しでも使いやすいです。
最新のフラッグシップ機であれば、更にダイナミックレンジも広がり解像度も高くなっているので、より解像感のある撮影もできそうです。
広角寄りの標準域なのでスナップ時のボケ表現は苦手そうに見えますが、開放はF1.7ですのでボケのコントロールが可能な幅があり、遠景が緩やかにボケていくような自然な遠近感を表現できます。
サラダのエビ付近にピントを置いてのテーブルフォト。
「LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7」の最短撮影可能距離は0.2m(撮像より)。
35mm判換算で0.2倍の倍率なので、かなり被写体に寄りつつボケを活かした撮影に対応可能です。
マイクロフォーサーズでエントリーモデルのカメラを買って、ボケを求めた初心者ユーザーが最初に購入しやすい交換レンズはオリンパスの45mm F1.8あたりを選択する方が多いようです。
確かに被写体から数メートル離れてポートレートを撮影するような使い方であれば、45mmなどの中望遠のレンズは非常に有効です。
しかし、近景を含めた風景やSNSなどでよく見るテーブルフォトなどは「LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7」が使いやすいと思います。
やや被写体から離れて風景を撮影するなら、開放近くでもパンフォーカス寄りで背景が緩やかにボケた描写になるのですが、思い切って寄ることで前ボケも使った撮影も可能です。約30mmという画角とF1.7という絞りを理解した上で使える方なら、非常に有効な武器となるはずです。
絵の傾向としては輪郭線は繊細で、色はややコッテリの傾向。
線太めでカリカリの描写が好きな方は20mm F1.7の方が良さそうですが、自然なボケや階調を優先するなら15mm / F1.7がオススメですね。
夕陽が沈んだ後、街頭の少ない郊外の国道で撮影。
電線や鉄塔、道路標識の輪郭を残したいためF8まで絞り込んでいて手ブレが心配なシーンではありますが、広角寄りな画角のおかげか手持ちでも撮影できました。
また、夕景でのAFの合焦スピードは他の2本に比べて、非常に早くスムーズです。
走行中の気動車を高架から撮影しました。
流石に手ブレが目立ちますが、夜景のスナップとしては面白いです。
GM1用に購入したとはいえ、こういった撮影はLUMIX G9 PROやOM-1のような、強力な手ぶれ補正と少し高感度に強いボディだとより幅広く楽しめるかと思います。
まとめ
もう少し使い込んで再レビューしてみたいと感じましたが、数日間だけでも「LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7」はGM1と相性も良く、とても魅力のあるレンズだと分かりました。
単純にマイクロフォーサーズレンズでボケを重視するなら、オリンパスのF1.2 PROシリーズなどやパナライカのF1.4シリーズのレンズもありますが、価格やサイズ・重量も更に1段階アップするため、普段使いのGM1のような小型カメラに装備して気軽に使うには躊躇してしまうことも多いです。
また、ミラーレスカメラも大型のボディにレンズを装備するとそれなりに威圧感があり、普段使いでは撮られる方が緊張したりすることもあります。
ところがこの「LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7」は大口径レンズとしては非常にコンパクトです。
防滴・防塵の機能はありませんがGM1やPENのようなコンパクトなボディに装備しておけば、違和感もなく軽くて携帯が容易です。
一見するとクラシックなフィルムカメラ風にも見えますし、撮られる側の緊張を和らげる効果もあります。
エントリークラスのパンケーキ単焦点レンズと比較すると少しだけ高価になりますが、スマートフォンカメラ的な画角で万能に使用できます。
カメラを常時携帯したいユーザーで、階調表現やボケの自然さを楽しみたい方なら、ぜひ持って置いて損のない1本と言えそうです。
パナソニック 単焦点 広角レンズ マイクロフォーサーズ用 ライカ DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH. ブラック H-...