今回は私が使用しているマイクロフォーサーズ用広角ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」を紹介します。
2015年の登場からかなり年月が経っているので、今更のレビューという感じはあるかも知れません。
パースを活かした超広角撮影に開放からシャープな描写と安定した画質。最短撮影距離の短さなど北海道在住の時代にこのレンズがあったらと感じたレンズです。
広角ズームとしてのM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROの特徴
外観の特徴
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質感の高い鏡筒: M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROは、防塵防滴設計の堅牢な鏡筒を備えています。金属製のズームリングとこれにより、野外や過酷な撮影条件下での使用に耐えることができます。
- 他のPROシリーズのレンズと同様にレンズファンクションを備えており、ユーザーの使い勝手向上が狙えます。
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ズームリングとフォーカスリング: レンズには25mm幅のズームリングがあり、程よい抵抗感があります。焦点距離の表示は7mm、8mm、9mm、10mm、12mm、14mmで刻まれ、MFクラッチとの組み合わせにより、撮影前に焦点距離とピント位置を大まかに設定しておくことができます。また、18mm幅のフォーカスリングはMF(マニュアルフォーカス)クラッチ時に約90度の回転角で動作となっています。
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コンパクトなサイズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROは、MFTレンズとしてはやや大きいものの、一般的な広角ズームレンズとしては比較的コンパクトなサイズを持っています。これにより、携帯性に優れており、旅行や野外での撮影にも便利です。
これらの特徴により、M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROは、高品質な撮影を求めるプロのフォトグラファーや写真愛好家にとって、頼りになる広角ズームレンズとなっています。
M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROのメリットとデメリット
- MFクラッチ機構を備えており、12-40mm F2.8PRO、40-150mm F2.8PROなどと同様に、AFとMFをダイレクトに切り替えることができます。また、距離表示もあるため、ノンファインダーでの撮影時にも威力を発揮できます。
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レンズフード: このレンズには固定式のレンズフードが組み込まれており、外部からの光の侵入を効果的に防ぎ、逆光によるフレアやゴーストを抑えることができます。
- 固定式のレンズフードとデメキンタイプの前玉のため、安価な円形フィルターは装備できないことが、低コスト重視の風景写真家や動画メインのクリエイターにとっては弱点となりえます。
写真(スチル)メイン写真家であれば、OM1やE-M1 markIII、E ~M1Xなど、ライブNDを搭載したカメラボディを使用する際には、上記の円形フィルター問題はある程度緩和できる部分もあるので、実際の使用用途によってはM.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PROと比較しても良いでしょう。
M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROのスペック
- マウント:マイクロフォーサーズ
- 焦点距離:7-14mm(35mm判換算14-28mm相当)
- レンズ構成:11群14枚(EDAレンズ2枚、DSAレンズ1枚、非球面レンズ1枚、スーパーEDレンズ3枚、EDレンズ1枚、HRレンズ2枚)
- 開放絞り-最小絞り:F2.8 - F22
- 最短撮影距離:0.2m
- 最大撮影倍率:0.12倍(35mm判換算0.24倍相当)
- 絞り羽根:7枚(円形絞り)
- 最大径×全長:Ø78.9x105.8mm
- フィルタ径:ねじ式円形フィルターは使用不可
- 重量:534g
- 希望小売価格:185,000円(税込203,500円)
M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO実際の作例
細かなスペックについては、メーカーや他のサイトでも多く語られているため、私がわざわざ説明していくより、実際の作例を交えて紹介していきましょう。
風景写真(Landscape)
地元の釣り好きな方に人気の某所。
日没後の空のグラデーションを30秒の長時間露出で撮影したものです。
岩場を歩く釣り人の持つライトが、岩場の上に光跡を残しています。
まず、風景写真を撮影するのであれば、広角レンズに求めるものはワイドな画角で、画面に広がりを感じさせることができること。
それを十分に感じることができるシーンかと思います。
使用したボディはE-M1markII(2016年発売)ですので、最新モデルであればさらにノイズなども軽減できると思います。
桜の古木をや地面スレスレの位置から撮影。
全景に映り込む菜の花と青空を背景に咲く桜を欲張って配置しています。
逆光ですが、桜の花と薄くかかった雲がデュフューザー代わりとなり、白飛びを防いています。
曇天の早朝。やや荒れた海で、浜辺に向かい撮影しています。
曇天とはいえ、波の動きを表現するため、ISO64と拡張感度まで落とし、F18まで絞り込んで1/5秒でシャッターを切りました。
回折による画質低下はありますが、波の流れをモノトーンで表現したため、結果としては悪くないと思います。
旅写真(travel)
様々な旅の中で出会った景色を広角スナップできるのも、M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROの魅力です。
アイレベルは通常のまま、メインの被写体を画面の中央に配置することで、歪みを最低限に抑えつつ景色を写しとることができます。
高知市の公園で出会った古い路面電車。ローアングルで撮影することでパースを強調した撮影が可能です。
ふれあい動物スペースにて撮影。
さらにグッと地面に近づけて撮影。動物たちと同じ目線で構えることで、少し日常から離れた風景を捉えることができます。
ペットなどの撮影でも活躍します。
逆光撮影
超広角レンズであることに加え前玉の形状もあって、フレアやゴーストは発生しますが、それなりにコントロールしやすいので、どんどん使っていけるはずです。
このレンズを使う際にはどうしてもワイド端を使いたくなりますが、テレ端の14mm(フルサイズ28mm相当)を利用して自然な画角での風景スナップにも使えます。
テレ端が12mmまでではなく14mmまであることで、旅先でのレンズ交換の頻度を減らしつつ、テンポよく撮影していくことできるはずです。
夕方の海浜公園で遊具を逆光撮影。
画面端のディテールは崩れることなく描写されており、中央からの空のグラデーションも破綻しないため、JPEG撮って出し派の方でも使いやすいと思います。
フェニックスのアーチをモノクロ撮影。
24mm相当の画角と、コントラストを弱めることでより自然な雰囲気を演出してみました。
暗所・夜間・星空撮影
水族館の大水槽を撮影。
ノイズについてはボディの性能に左右される部分ではありますが、ISO3200以上などの高感度性能に頼らなければならないシーンを除けば、F2.8の口径を活かし、良好な撮影が可能です。
家族旅行やデートでも携帯しやすいという、MFTの利点も活かすことができるでしょう。
月の出る夜天の川を15秒ほどのシャッタースピードで撮影。赤道儀なしの1ショットです。
通常、満月のシーンでは月が明るく、白トビが発生しやすいですが、雲が光を遮ってくれたことで天の川もしっかり映っていました。
E-M1 markIIのライブコンポジットを使用して夜の海を撮影。
1段分絞ることで、全体の描写のディテールをより表現できるよう設定しています。
ライブコンポジットではRAWが生成されますので、その後の現像によって調整する幅も広く、ノイズの低減にも効果があります。
まとめ
私が「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」で撮影した作例を紹介してみました。
昨今の値上げラッシュはカメラ業界にも共通しており、このレンズも発売時期よりも値上がりしてしまったレンズの1本です。
ただ、F2.8の大三元ズームということで販売価格は安くはないものの、多くのシーンに対応できるこのレンズは広角撮影に興味を持ったユーザーに安心してお勧めできるレンズです。
マイクロフォーサーズでは暗所の高感度ノイズが発生しやすいことや、フルサイズに対してダイナミックレンジのが狭いなど弱点はありますが、しっかり設定することで対応できるシーンは多いです。
個人的には旅の風景を広角で切り取っていくことが好きな方には、ぜひ使ってみてほしいと思います。
OLYMPUS 超広角ズームレンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO マイクロフォーサーズ用 EZ-M0714PRO BLK