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LUMIX DC-S1の導入しマイクロフォーサーズと比較する2【写真画質】

春に導入したLUMIX DC-S1ですが、そこそこ写真の作例も溜まってきました。

せっかくですので、E-M1 markIIの写真と比較しながら簡単にレビューしたいと思います。

LUMIX DC-S1を3ヶ月ほど使ってみて

前回の記事でも書いていますが、カメラに慣れてボタン位置などを理解すると、インターフェイスが非常に使いやすいことが分かります。
各パラメーターが物理ボタンからダイレクトに呼び出せたり、複数回ボタンを押下することで設定を変更したりできるため、作品の撮影に集中したい時には非常に便利。

E-M1などではメニューでスーパーコンパネか設定画面を呼び出し、任意のパラメーターに変更して確定させる必要がありましたが、物理ボタンでダイレクトに機能を呼び出し設定ウィ完了させることができます。

例えば、ISOなどはボディトップ側にあるISOボタンを押すことで、直接メニューを呼び出すことができます。同じボタンを複数回押下することで直接パラメーターを変化させることも可能で、1回目でISOメニューを呼び出し、2回、3回と押すことで100→125→160といった感じにスライドしていきます。もちろんジョイスティックやダイヤルでも変更可能。この辺りはマイクロフォーサーズのG9Proでも同じだと思いますが、写真機材としてしっかり考えられていると感じますね。

最近は動画がメインのカメラで写真はオマケの様なLUMIXのカメラですが、S1シリーズの開発時は写真について真剣に考えていたんだろうなと感じる部分でもありました。

 

個人的に気になるポイントとしては、コントラストAFのクセの部分。
一般的な風景やポートレートであれば、被写体認識などもあり、そう問題にならないレベルです。

しかし、花畑の中から1本の花弁を狙ったり、やや薄暗い場所で複数の葉の中から1枚のみを選択するようなシーンでは、ポイントAFモードでも迷うことがあります。

一度、ピントを大はずしすると戻ってこなくなり、シャッター半押しや親指AFを再度押しても合焦しないのには困りました。

LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.
Panasonic LUMIX DC-S1/LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S. 

作例としては、この記事の表紙で使用した写真やこちらの木のようなシーン。

対策としては、あらかじめメニューからショートカットキーの設定でAFの優先距離を指定できる「AF-ON:遠側」「AF-ON:近側」を割り振っておき、MFと併用して使うなど少し慣れが必要な部分が存在ますね。

Panasonic LUMIX DC-S1の画質傾向

Panasonic LUMIX DC-S1 / SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary

マイクロフォーサーズ(MFT)のE-M1 markIIとの比較では、通常のシーンはもちろん暗所に対しても万能で、安定してオールマイティに撮影できる画質傾向です。

日中の観光地の展望台で、俯瞰の風景撮影するような、フラットで好条件の光の中でパンフォーカス撮影を行うのであれば、MFTに対して明確な画質の差を感じるほどではありません。

ただ、逆光や遮光の入った明暗さのあるシーンであれば、その階調(トーン)の表現や色調の自然さが魅力の絵作りであると言えるでしょう。

レンズによる差もあるのですが、LUMIX Sシリーズはどちらかと言うと、ローキーでの表現が得意な映像エンジンのチューニングではないかと思います。

マイクロフォーサーズセンサー(MFT)との画質差

逆光での快調性能の違い

E-M1mk2
LUMIX DC-S1

若干画角が異なりますが、E-M1 markIIとLUMIX DC-S1の写真比較です。
この写真ような逆光時など階調性を活かしたい場合には、フルサイズセンサーの恩恵を感じやすいシチュエーションです。

左側のゴーストが発生している写真が、E-M1 markIIにM.Z12-40mm F2.8Pro。右がLUMIX DC-S1にシグマの 20mm F2 DG DNです。
逆光で島の影となっている家屋や斜面の木々の部分が差が分かりやすいと思います。

こういった部分はどうしても物理的なセンサーの性能差が現れやすいので、風景写真には大型センサーが向いていると言われる所以であると感じます。もちろんスマホのようにブラケット撮影してHDR合成を行えばある程度補えるのですが、1ショットのみでとなるとやはり差が出てしまうところです。

もちろん、シーンによってはそう差が出ないこともあり、撮影時の設定や表現方法、RAW現像時のテクニックによって、ある程度カバーできる場合もあります。

とはいえ、それほど高級なレンズでなくてもしっかり結果を出せる点は、大きなセンサーサイズのメリットであることを実感します。

 

 

接写時のマクロ表現の違い

Panasonic LUMIX DC-S1
Panasonic LUMIX DC-S1/LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S. 

これはどちらが良い、悪いと言う部分ではなく、撮影者の好みで「どう表現したいのか」と言う部分です。

一般的にミラーレスや一眼レフを購入する初心者の方が、そのセンサーサイズと大口径レンズの特性でもある、ボケを活かした写真の立体感に惹かれて購入する方が多いと思います。

こちらの紫陽花の写真はボディとセットで購入できるF4のキットレンズで、105mm 絞り5.6と1段絞って撮影した物です。

キットレンズとはいっても中古で10万円ほど、新品では14万円ほどと、決して安価とは言えない値段ではあるのですが、上位のF2.8ズームや大口径単焦点を購入しなくても、この程度なら簡単に撮れてしまいます。

しかし、実際に「どの花」を撮りたかったのかなど、それを写真のみで明確に表現しようとする場合、ピントの位置と被写界深度のコントロールを考えて設定していく必要が出てきます。

ただ、自然な形でボケを表現できるのはフルサイズセンサーを持つLUMIX S1のメリットと言えそうです。

E-M1 markII+M.Z12-40mm F2.8Pro

こちらはE-M1 markII+M.Z12-40mm F2.8Proで撮影したもの。設定は40mm F4です。

マイクロフォーサーズ(MFT)レンズはかなり最短撮影距離が短く、接写が可能なレンズが多く。シャープな描写と高い解像力を持つレンズが10万円以下で入手できる点も魅力です。

40mmでもかなり寄って撮影することで、1段絞っていても十分なボケを発生させることができます。
また、開放ではなく1段絞ったのは、このレンズが解像力を最も発生できる部分を活かす狙いとなっています。
それにより、細かな萼(ガク)や花弁のディテールをより繊細に描写することができているはずです。
しかし、初心者の方が何も考えず撮った際には、フルサイズのS1に対してイメージ通りのボケを得ることが難しい場合もあるかも知れません。
とはいえ、少しだけ過焦点距離(ピント位置と絞りと焦点距離の関係)の知識を勉強すれば何とかなるの部分ではありますので、初心者の方にも、ぜひチャレンジしてみて欲しいところです。

E-M1 markII+M.Z12-40mm F2.8Pro

こちらも同様にE-M1 markII+M.Z12-40mm F2.8Proで撮影したもの。
設定は40mm F5.6。モチーフは先ほどと同様にアジサイの花です。

この写真では「見たままの花を記録する」いわゆる日本語の「写真」的な表現を目指すのではなく、マクロ撮影やアート写真のように花をミニチュアやジュエリーの様な造形として捉え、少し現実感のないようなオブジェとしての表現を目指して撮影しています。

具体的には、木々の間から入るわずかな光を生かしながら、ソフトフォーカスのフィルターを使用したうえで撮影し、さらに絞って花のグループ全体にピントを合わせ、それが際立つように出力します。

標準ズームで難なく撮影できるので、こういった表現にはMFTの方が向いていますね。

Panasonic LUMIX DC-S1の画質に感じたことのまとめ

実際にフルサイズのLUMIX DC-S1を使ってみて、やはり風景写真などにおける階調表現や、いわゆる空気感を表現したいシーンでは、フルサイズセンサー搭載機の優位性を実感します。

また、昨今SNSで語られることが多い、LUMIXの絵作りについては概ね私も同感です。

おそらく、S5M2なども同じ傾向だと思われますが、撮影した写真はしっかり解像しているのですが、輪郭のシャープネスを強くしすぎたようなカリカリなエッジの画像にはなりません。どちらかと言うと線の細い繊細な描写。なだらか階調(トーン)と暗部の自然な表現はどちらかというと玄人好みの絵作りです。

海外などでも多い、ややローキーの写真にも馴染みそうですね。

輪郭の表現などはRAW現像時に編集が可能なので、元がニュートラルに使い方が、過剰にレタッチせずに自然な表現を目指したい方には特に相性が良いと感じています。

しばらく使ってその重さについても慣れてきたので、色々なシーンに持ち出して使い込んでみたいと思います。

また、高解像度版のS1Rについても、機会があれば使用してみたいですね。

Panasonic LUMIX DC-S1/LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S. 
Panasonic LUMIX DC-S1/LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S. 

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