車中泊にチャレンジしようと思っている方は、フルフラットモードのシートアレンジができる車であれば、ブランケットなどを用意するだけで快適な睡眠が取れると思っている方が多いようです。
しかし、実際に車で6時間ほどの睡眠を取るとなると、フルフラットモードだけでは意外にもしっかり寝ることができないことに気がつくはずです。
車内で快適な睡眠とるためには、少しでも段差のない完全なフラットな就寝スペースの確保が大切です。
これから車中泊旅や、車中泊を利用したオートキャンプにチャレンジしていきたい人に向けて、実際の車中泊に利用できるヒントを紹介します。
[toc]
シートがフルフラットアレンジできれば快適なわけではない
まず、実際に畳の部屋などで横になった際、腰の一部や肩の部分だけに折り畳んだ座布団や枕を敷いてみてください。
1時間程度の仮眠しかしないのであれば、大きな問題はありません。
しかし、しっかり睡眠を取るためには、たかだか数センチの凹凸であるだけで寝返りもできず、不快に感じることが多いです。
車のフルフラットモードは「フルフラット」という名称の割に、シートの隙間やサポート部位でかなりの凸凹状態であることが多いです。
床でも地面でも熟睡できる猛者ならともかく、一般の方は慣れていなければ熟睡することは難しいでしょう。
睡眠不足によるリスクの増大
自宅で少し寝づらかった程度なら特に問題はないのですが、移動時に運転を伴う車中泊です。
疲労が抜けない睡眠不足の状態は、自分だけではなく事故などで、他人を死傷させるリスクを増加させる結果となります。
解決したいフラット化のポイント
できる限り凸凹を減らす事。そして、実際に寝転んだい際に身体に対する圧が均一になることが重要です。
それはタオルやクッションをシートの段差に詰めただけでは、見た目は良く思えても寝転んでみると意外にも凸凹が解決できていないと感じるでしょう。
それでは、快適なフラットな就寝スペースはどうやって確保すると良いのでしょうか。
実際に快眠できるフラット化の方法
簡単な方法から大掛かりな方法まで、色々なやり方があります。
代表的なものは下記のような3つです。
- インフレータブルマットを使う
- 専用ベッドを組む
- 板などで全面をフローリング化する
下に行くほど完全なフラット状態となり、就寝時には熟睡しやすくなりますが、少し大掛かりな準備が必要になってきます。
次に細かくみていきましょう。
フラットモードの上にインフレータブルマットを使う
キャンプをされている方にはお馴染みのインフレータブルマットを使う方法です。
インフレータブルマットとは、キャンプなどに使われるクッション性の高い携帯用のマットです。
普通の浮き輪のような空気だけのエアマットとは違い、厚手のウレタンフォームと空気の併用で段差を緩和しながら、快適なベッドスペースを確保できるところがポイントです。
全く使用しない時にはマットを小さく畳んで収納できることから、この方法は車中泊の頻度は時々やる程度のミニバン、軽自動車などに向いています。
フラットが自慢の軽バンの荷室ですら、上の写真のように多少は段差が残ってしまいます。
シートをフラットにアレンジできるだけのミニバンや軽乗用車などでは、シートの継ぎ目やサポート部分にさらに数センチの凹凸が残ってしまうのが普通です。
そこで、キャンプ用よりも更に厚手タイプのインフレータブルマットを使うことで、凹凸部分にも橋をかける容量でフラット面を均一化します。
車中泊向けのマットは収納サイズが大きいので、バイクや徒歩でのキャンプには使えないことも多いですが、オートキャンプであれば特に問題なく持ち込むことができます。
実際にインフレータブルマットを使ったイメージ
こちらの写真ではロールマットやクッションで、ある程度のシートの凹凸を均しておき、さらにキャンプ用のインフレータブルマットでフラット部分を拡張しています。
仮眠程度であればこれでも十分に可能ですが、本格的に車中泊旅行をする際には、ソファで休む程度しか熟睡できない状態でした。
その後、北海道の道東を回る際には経験を生かし、左のリア座席の背もたれを脱着できるように改造しておきました。
就寝時には外して運転席の後に重ねておき、助手席側を全て使って、170cmほどの就寝スペースを確保するイメージです。
写真は2000年代のものですが、この時期は厚手のインフレータブルマットはまだまだ高価でした。
その為、キャンプ用のウレタンマットとインフレータブルマットを重ねて使っていました。
今なら1万円程度から選べるマットも多くなっています。当時に比べて格安で良い寝心地のスペースを確保できるはずです。
下にリンクを貼ってみましたので、参考にしてみてください。
また、これから車中泊用に車を購入する方への注意点としては、上の写真のテリオスキッドを含めてダイハツの軽自動車は、軽バンタイプを除いてシートのフラットアレンジができない車種が多いようです。軽自動車を車中泊に使用したい場合は、車種を選ぶ際にシートアレンジをしっかり確認するようにしてください。
インフレータブルマットのメリット
- 空気を入れて敷くだけで、簡単にフルフラット化できる
- 使用しない時は畳んで収納できる
- マットによってはかなり寝心地が良い
インフレータブルマットのデメリット
- 購入価格がそれなりに高価
- 破れやバルブ破損などのエア漏れが発生すると使用できなくなる
車内にベッドを組む
ふたつめの方法は、専用のベッドキットを購入するか、合板や床材を使ってベッドを組む方法です。
全面をフローリング化しても良いのですが、ベッドを組むことのメリットもありますので用途に応じて選択してください。
床を残すことで軽量化したり、残った部分に汚れやすいものを置くなどの使用時に便利です。
私が2015年まで乗っていた「ホンダ バモス」は、左反面にベッドを配置。
右半分はMTBやロードバイクなどの自転車を積載したり、リビングスペースとして残したりして使っていました。
こちらの写真は北海道のスキー場で、後部座席でお弁当を食べながら休憩している時の写真です。ベッドはサイドテーブルとして使用しています。
ソロでの使用がメインなら、軽バンなどでも片面にベッドを組む方法は天井スペースを広く使えることと、ベッド下を収納として活用しやすいなどのメリットがあります。
実際に作ったベッドのパーツについて、当時の写真を下に掲載しておきますので、参考にしてみてください。
ちなみに私は加工しやすい木材で作りましたが、イレクターパイプなどの金属パイプを使って作成している人も多いようです。
実際のベッドの組み方
後席の足元も、工具や靴を入れる収納として使えるようになっています。
荷台部分はこんな感じになっています。
テーブル状に作ったベッドの写真ですが、ここから左手に筋交い(すじかい)を入れるだけで、かなりの強度が確保できます。
ベッドとして使用する際にはこのようにウレタンマットを敷いて、さらにシーツや寝ゴザを重ねて使っていました。
ベッドを組むメリット
- 必要なサイズで簡単にフラットな寝台を設置できる。
- 脚部を工夫すれば、ほとんどの車種で利用可能。
- 寝台の幅によって、積載重量やサイズを最小限に抑えることができる。
ベッドを組むデメリット
- 積載物が増える
- 3名以上の乗車時には撤去できるよう工夫が必要
- 利用しない時に邪魔になりやすい
全面をフローリングorベッド化
全面をフローリング化する際ですが、後席を使うかどうかで方法を変更する必要があります。
一番簡単なのは、後室から荷室にかけて、コンパネや床材を敷いてしまう方法です。
軽自動車のように就寝時に前席を折りたたむ必要がある車種では、助手席足元と後席の脚の部分の床を角材などで高さを合わせてブリッジを作りそこに板を敷きます。
先のベッドを組む方法で紹介した写真、「バモスに車中泊ベッドを組む(後席部)」に近い印象です。
実際の全面フローリングorベッド化の例(前後一体型)
こちらの写真はホームセンターなどで販売している「ツーバイフォー材」でスノコの足になる部分を作り、そこに板を乗せてフローリング化する方法です。
足の高さは最低限なので、天井スペースを高く取ることができるのが特徴。
板も前後で箸をかけるようになっていることから、家屋と同じように完全なフラットを実現できます。
ただし、後部座席を使用する際やバッテリーのチェック時には、板を全て外す必要があるのが難点です。
実際の全面フローリングorベッド化の例(前後分割型)
分割型はベッドと同様に車体のフロアに脚部を設置し、前後別体のフローリングを作るイメージです。
後部座席が使用できるほか、床全面の下側が収納として利用できるので、設計によって様々なサイズの荷物を床下に積載できます。
自作する際には、前後の連結部に高さの違いができないように注意が必要です。
私が現在使用しているスクラムバン(エブリイバン17と同型機)では、こちらの方法でフロアを組んでいます。
市販のキャンピングカーなどなら、フロア全面にウレタンスポンジを敷き詰め、フェイクレザーなどでソファーのように加工している車もあります。
全面フローリングorベッド化するメリット
- 完全なフラット状態を実現することでキャンプ用マットなどでも快適な睡眠を得られる。
- 床を底上げすることで、荷物の積載量を増やすことができる。
- 就寝時にベッドからの落下を防げる
- 寝返りもできるので就寝時の負担が少ない
全面フローリングorベッド化するデメリット
- 床や脚部などパーツが大きくなり積載量が増える
- 外した際のパーツの収納に場所を取る
- 設計によって後部座席が使えなくなる
- 車種によって点検時などに外せるよう工夫が必要
市販の車種別ベッドキットもある
自作できない人向けに少し高価になりますが、ミニバンや軽バンなら、車種別でベッドキットも販売されています。
フレームにマットのついた天板を設置するタイプで、自作したものと同様に床下は収納として使用できるので、予算的に余裕のある方は検討してみても良いかもしれません。
軽バンの代表2車種(エブリイ・ハイゼット)とミニバン(80系ノア・ヴォクシー・エスクァイヤ)用のリンクを貼っておきますので、参考にしてみてください。
他の車種でも、Amazonや楽天などで「車種名+ベッドキット」で検索すると候補が出てくると思います。
まとめ
完全なフラットな寝台の確保は、車中泊での快適な睡眠の絶対条件です。
まずは快適なベッドスペースを確保して、車中泊やキャンプにチャレンジしてみましょう。
私が実際に軽バンをベースにフラット化した方法については、YouTubeチャンネルにも動画をアップしています。
建材用の杉床板を使用することで、コンクリートパネル(コンパネ)を使う方法より床が柔らかく、冬にも冷たくないのが特徴です。
興味のある方はぜひ、視聴してみてください。