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【カメラ選びのコツ】デジタル一眼カメラは画素が多いほど良いカメラなの?

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これから写真を趣味として始めたい思っているあなた。
各メーカーから色々なカメラが発売されており、どんなカメラを選べば良いのか迷っていませんか。

私自身、これから趣味として写真を始めようと思っている方から、「どんなカメラ(レンズ交換式デジタルで)を買ったら良いか」と質問されることは多いです。

ちなみに私の結論を言うと「現行のレンズ交換式の機種であれば、どこのメーカーの一眼レフやミラーレスでも問題ないよ」と答えます。

細かく書くと選び方はいろいろあるのですが、今回はカメラ売り場を訪れた際に目に付く、カメラの「画素数」について書いてみようと思います。

 

 

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画素の多いカメラが画質が良い写真が撮れるわけではない

画素数や連写数はメーカーや販売する店舗側にとってもカメラの性能(スペック)を比較するのに分かりやすい数値なので、多くの場合アピールポイントとなります。

その為、一般的には画素数の多いカメラの方が良いカメラという認識を持たれていることが多いことは否めません。

しかし、実際にはカメラの画質は画素数と画素サイズとのバランスが大切で、撮影者(カメラを使用するあなた)が何に使用する(WEBやプリント、商用媒体など)、どんな(階調性重視か精細な描写重視か)画像データを必要としているのかという点が重要になってきます。

ちなみに今回の記事で表紙に使っている牡鹿の写真。こちらは2011年10月に知床の羅臼で私自身が撮影したものです。
使用したカメラは2004年に発売されたEOS 20Dで800万画素。タムロンの18-200mm という安価な手振れ補正なしの高倍率ズームで手持ち撮影したものです。
少し足りなかったため1/3程度にトリミングしていますのでポスター印刷などは厳しいですが、それでも2L〜A4程度なら十分プリントも可能です。

800万画素でもこのくらいの写真は撮れてしまうのですから、通常の使用においては1000万画素から1500万画素程度あれば画素数が足りないというシーンに出会うことは稀です。最近のフォトコンテストでは「1000万画素以上のデータ提出」との記載がある案件に出会ったことがあるので、コンテスト入賞を目指すなら1000万画素を最低ラインにしておくとよいかもしれません。とは言え、現行の機種であればマイクロフォーサーズでも1000万画素以下の機種はありませんので、中古で購入する場合を除きあまり気にしなくても大丈夫です。

 

また、高精細な描画は写真の品質の1つのポイントではあるのですが、高精細な描画性能という写真表現の可能性の1つであるといって良いでしょう。

 

撮影した写真を何に使うのか必要な画素数

CMOS

先の章でも少し触れたようにカメラ選びは「あなたが撮影した写真を何に使うのか」と「どんな写真(画像)を撮りたいのか」で、最低限必要な画素数は決まってきます。

例えばスマートフォンやブログ、SNSなどに綺麗な写真を使いたいという条件であれば、現行のレンズ交換式カメラであればどれでも問題なく対応できます。最近のレンズ交換式デジタルカメラでは1000万画素程度は最低限確保されています。

何に使うか何で鑑賞するのかという点ですが、それぞれのモニターやプリントされる紙などのサイズに合わせた解像度があります。

例えば、スマートフォンの画面や一般的な2KいわゆるフルHDですが、1920×1080ピクセルあれば十分綺麗に表示されます。
これは画素数で表すと2,073,600画素になりますので、200万画素となります。
最近話題の4Kテレビ(3840×2160)は8,294,400画素となりますの830万画素です。
更にイベントやAVマニア、一部の高所得者層などがターゲットの8K(7680×4320)では3,320万画素。
8Kで等倍表示を目的にするのであればフルサイズの高解像度モデルを選ぶ必要があるものの、PC用のモニターなら35インチ程度のものもありますが、一般的なTVの8Kモニターは60インチ以上となりますので、少し離れた距離で鑑賞するため多少のTV側が映像として補間してくれます。

ざっとモニターの解像度で説明しましたが、それ以外の一般的な紙媒体では誌面との距離を考えて、ポスターサイズに印刷して個展を開くような用途は2000万画素もあれば十分対応できます。

通常の印刷物(プリント)は300dpi(1インチに300ドット)程度の解像度で印刷(入稿)されることが多いのですが、これは書籍などユーザーの目から近い距離で鑑賞するための解像度です。
ポスターサイズ(A1、B1等)の場合、全体を眺めるために1m以上は離れて鑑賞すると思いますので、概ね150dpi(1インチに150ドット)の解像度で2000万画素ほどあれば、かなり綺麗に印刷できます。校庭やスタジアムの観客席でパネルを掲げて描く人文字と同じ原理です。

ちなみにA1やB1といっても印刷業界の経験でもなければ、サイズをイメージしにくいかもしれませんので、家庭用テレビのサイズに換算してみましょう。若干アスペクト比が異なるため、紙面サイズは縦に広がりますが、A1がテレビの43インチ、B1は49インチ、A0は55インチと同程度の横幅となります。

ただ、写真の表現として高精細な描写が欲しいという場合は話は別で、より高画素かつセンサーサイズが大きな機種を選び、カメラ本体の性能を生かせるレンズも合わせて購入するのが良いでしょう。

なぜ、センサーサイズが大きな機種が良いかは次の項目で説明します。

参考モニターの解像度

モニター規格 解像度 等倍の画素数の目安
2K(full-HD) 1920×1080 200万画素
4K 3840×2160 830万画素
8K 7680×4320 3,320万画素

 

 

 

どんな写真を撮りたいのか、1画素のサイズについて

次に「あなたが撮影した写真を何に使うのか」に続き、「どんな写真(画像)を撮りたいのか」について簡単に触れてみようと思います。

これは画素数ではなく1画素あたりのサイズの話になってきます。

○○○○万画素と言ったように画素数についてはカメラ売り場やカタログでよく見る言葉ですが、意外にも画素サイズについては重要視していない方が多いようです。

ここで重要な点は「あなたが欲しい写真のデータは高精細な描画(高解像度)重視」なのか、「暗所などでの高感度性能や明暗さが強いシーンでの豊かな階調性重視」の写真が欲しいのかと言うところです。

もちろん、その両方と言いたい方も多いかもしれませんが、ボディだけで20万円を超える35mmフルサイズセンサーのカメラであっても、そのバランスは機種によって異なっています。

 

画素サイズの違いと効果

画素のサイズとは写真の画像(映像)を記録する撮像素子の1画素サイズ。
これはイメージセンサーを構成する1画素あたりの面積と言い換えると言い換えることができます。

1つの点が1画素なので、「画素(ピクセル)が大きい」というと画質が悪いように感じますが、実際に画面に表示されるドットのサイズではなく、センサーの中に並んでいる1画素の面積と考えていただけると分かりやすいと思います。

 

画素サイズ

仮に上の図のような同じサイズ(面積)の正方形(1:1)イメージセンサーがあったとします。

左は画素数が多く画素サイズの小さなセンサー。右は画素数は少なく画素サイズが大きなセンサーです。

一般的には左のセンサーの方がスペック的には高画素モデルで高画質と書かれるのですが、同じメーカーが作る同世代のイメージセンサーと映像エンジン(カメラに組み込まれた画像解析・現像ソフト)の組み合わせであれば、必ずしも高画素=高画質ではありません。

デジタルカメラの仕組みですが、センサーの画素の上には目で識別することのできないほど小さなレンズが並んでおり、光を信号に置き換えて記録します。

その際に画素数が多いと、1画素あたりの面積が狭くなるため同じ明るさのシーンで写真を撮影した際、1画素が受け取ることができる光の量が減ってしまいます。

雨の日に30センチ四方の画用紙の上に小さなコーヒーカップをたくさん並べた場合と、画用紙と同じくらいのサイズの洗面器を置いた場合に貯まった水の量を考えてみてください。大雨の日にはどちらもたくさんの水を貯めることが出来るでしょう。

しかし、雨量が少ない日には同じ時間で受け止めることができる雨水の量は、面積が広く無駄がない洗面器が多くなることに気が付くはずです。

写真を撮る際にイメージセンサーが受け取る光は、この雨水と同じと考えてください。

十分な光量がある明るいシーンを撮影する際には「高画素のカメラ」でも、「低画素のカメラ」でも十分な光を受け止めることができ、綺麗な写真を撮ることができます。さらに高画素の方が詳細まで細かく光を分解・解像し、精細な映像を記録できます。

ただし、精細な画像を撮影するためにはカメラ本体だけでなく、その解像度に対応した解像力(性能)を持ったレンズも必要となりますので、実際に購入する際には高性能なレンズも購入する必要があることは覚えておきましょう。

では、十分な光量が確保できない暗いシーンでの撮影ではどうでしょうか。
センサーは光量が不足し、同じような写真が撮影できませんので電気的にセンサー感度を高めて増感します。
その際にセンサーの画素サイズが広ければ、光を受け取る面積に余裕があるため、増感しても十分な画質を保ちながら感度を上げることができます。
また、撮影時にノイズの原因となるセンサーの熱も面積が広い分だけ放熱量にも余裕があり、長時間の露光にも対応しやすくなってきます。

つまり、暗所での撮影や逆光などの明暗の差が大きいシーンを中心に撮影する場合、画素数が少なく画素サイズが大きなカメラ方が有利に働いてくるのです。

例えば、現在販売されているキヤノンのフルサイズイメージセンサーを搭載したハイアマチュア向け1眼レフカメラで、プロでも使用者が多い「EOS 5D Mark IV」 は約3010万画素ですので、約36.0×24.0mmの面積のイメージセンサーを6720×4480画素で切り分けたものということになり、常用感度はISO100~12800です。

ちなみに「常用感度」とは、メーカーが「写真の品質(ノイズや描写)を保持できる」と推奨するISO感度のこととなります。

対して同社のフルサイズイメージセンサーを搭載したプロ向け一眼レフ「EOS-1D X Mark II」は約35.9×23.9mmのイメージセンサーながら約2020万画素に抑え、常用感度はISO 100~51200までアップされています。

また、カメラは使用されるイメージセンサーや映像エンジン(カメラ内でRAW現像を行うデータ処理ソフトウェア)の世代によって、同じ画素数でも無理なく使用できる画素数や描き出される写真のクオリティーが変わってくるため、同じ画素数であっても同じ表現力があるわけではありませんが、上記の2機種についてはどちらも「DIGIC6+」という同世代の映像エンジンを使用しています。

 

センサーサイズと画素数による表現力の違いについて

よくフルサイズセンサーのカメラが良いと言われる理由は「ボケの量」と思われている方も多いのですが、ボケというものは写真表現の1要素でしかありません。
フルサイズセンサーの被写界深度の浅さは撮影条件によっては不利になる場合もありあます。

先ほどの項目を読まれた方はすでに察しの通り、実際のフルサイズセンサーの利点は「小型センサーに対して画素サイズとピッチに余裕があること」と言えます。

つまりある一定のダイナミックレンジ(階調表現能力)を確保したい際に、APS-Cやマイクロフォーサーズに対して画素数を増やしても、画素サイズに余裕を持足せることができる。または同等の画素数であれば、より高感度でなだらかな階調表現が可能となるのです。

 

cmos-size

上の図のようにカメラに使われるセンサーサイズはいくつかの規格に分かれています。

ご存知のように現在はスマートフォンのカメラでも1000万画素を超えるものがあるように、小さなセンサーを高画素化する技術は十分整っています。
センサーをより高画素かすることでよりキメの細かい精細な写真を撮影することはでき、無理にシャープネスを上げなくても綺麗なエッジを表現できるなどメリットはあります。

しかし、画素サイズが小さくなることで素子が受け取る光の量に余裕がなくなり、高感度に設定した際のノイズ耐性や階調の幅とも言えるダイナミックレンジ(フィルムでいうラチチュード)や連写性能が損なわれます。つまり暗いシーンではノイズが増え、明暗差が大きなシーンなどでは白飛びや黒つぶれが起きやすく、写真としての空気感などを表現する際に必要となる豊かな階調性が不足しペイントされた絵画のようになってしまいがちです。

そこで同じセンサーに無理に高画素を詰め込むよりも画素数を少なめにして、写真の階調表現を優先する。または高感度ノイズ耐性を強化するという選択が発生します。

例えば2017年から2019年のカメラで、マイクロフォーサーズの画素ベストバランスが1600万画素。高画素モデルで2000万画素と言われるのに対し、フルサイズでは2000〜3000万画素で高画素モデルは4000万画素以上となっています。

10年数年ほど前には階調性を考えるとフルサイズでも3000万画素などは非常に難しかったのですが、現在はセンサーの進化と映像エンジンのアルゴリズムの進化により、高画素でも階調性を犠牲にせず撮影することが可能となっています。

2019年現在の技術であればフルサイズセンサーなら4000万画素でも十分な階調性を保てますが、マイクロフォーサーズでは高画素化そのものは可能であっても、単純に2倍の面積の差がありますから。データのハンドリングの問題や階調性、高感度を大幅に犠牲にする可能性もあり、メーカー側も2000万画素で留めているのが実情と思われます。

同様に常用感度についてもおおよそ2段分くらいISO3200(E-M1 Mark2)とISO12800(EOS 5D Mark IV)の差があります。

 

結論とまとめ

単純に画素数が多いカメラがよいカメラでは無いと分かっていただけたと思います。

それでは初心者やこれから趣味としてカメラを扱ってみたい方、旅行などで綺麗な写真を残したい方は何を選べばよいのでしょう。

画素数については1500万画素程度あれば、通常の使用用途には不足ありません。

予算も潤沢にあり、何よりも画質が優先ということであれば、ボディやレンズも高価で多少重くなりますがフルサイズのミラーレスを。カメラを持っているという高揚感を味わいたいなら中級クラス以上のAPS-Cもしくはフルサイズのエントリークラス一眼レフがオススメです。

コンパクトでフィルムライクな画質を好むなら、富士フィルムのAPS-Cカメラ、動画も含めてよりカメラに親しむならマイクロフォーサーズもよいですね。

ただ、これから始めるのであれば、何よりも重要なポイントは「購入したカメラに愛着を持てるかどうか」や「普段から持ち歩くことが苦にならないか」ということです。

カメラの趣味がプロカメラマンのようにスタジオでの商品撮影やポートレートなど、カメラ機材を大きなカバンに積めていざ撮影にというスタンスならプロ向けの大型一眼レフカメラがよいのですが、それ以外ならまず持ち歩くことを苦にならないサイズと重量、価格のものを選びましょう。ちなみに価格と書いたのは「傷つけたく無い」などの理由で持ち出さないのは本末転倒だからです。カメラは一生ものと言われたフィルム時代と異なり、デジタルが中心となった現代では20万円から50万円するカメラであっても、新製品が発表されえると値崩れし、機能も見劣りしやすくなっています。

私も人のことは言えないのですが、カメラやガジェット好きのブロガーさんやユーチューバーは次々に新製品のレビューを行い、新機能を使った撮影をメディアで発表しあなたにオススメします。確かにカメラはそんな楽しみ方もあるのですが、まずは気軽に撮影を楽しんでみましょう。

普段持ち歩く荷物やちょっとした旅行などに持っていく荷物にカメラ一式をプラスして持ち歩くことを想像してみましょう。

いくら高価で高性能なカメラを持っていても、いざ目の前にシャッターチャンスが訪れた際にカメラを持っていなければ意味がありません。普段からカメラと遊び、たくさん撮影していく事がいちばんの上達の近道になることは確かです。

ならば、最初はカメラという機会に親しみ、楽しみながら知識を深めていきましょう。あなた自身が撮影したいと思える被写体が見つかったら、その頃には必要なカメラ機能やレンズ、機材なども見えてくるはずです。その時にはケチらず奮発して購入すればよいのです。

私がメインで利用しているマイクロフォーサーズのE-M1やE-M5などファインダー付きマイクロフォーサーズのようにカメラサイズが小さいことは、撮影時に周囲の人(カメラに興味のない人)を威圧する可能性が少ないというところもメリットです。

また、カメラ本体だけでなく、大口径レンズ(F値が小さいレンズ)もフルサイズカメラに比べて比較的安く購入でき、種類も豊富であることから、夜景やマクロなどを気軽に(カメラとレンズのサイズ・重さ・価格など)撮影したいという用途であれば、画質面は劣るもののフルサイズに対するアドバンテージは存在します。

必要最低限の画質を維持しつつ特にツーリングやトレッキングなどにも気軽に持ち出せるサイズや重量でありながら、センサーのダスト除去性能、防滴・防塵、耐寒-10などコスパが非常によいのが特徴です。パナソニックの4K動画撮影に適したミラーレス一眼GHシリーズはもちろん、DJIの大型ドローンInspire 2のX5Sなどとも一部レンズの互換性があるなど、写真だけでなく動画制作などを楽しむ方にもメリットがあります。

もちろん、デメリットもあるので、車で言うと高級ミニバンとコンパクトなスポーツカーのように適材適所ではあるのですが、最初に選ぶカメラとしては不足のない性能を持っています。

さて、あなたはどのカメラを選びますか?

ぜひあなたに合った1台を選び、思い出に残る写真を撮影できることを願っています。

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