今年の春にLUMIX DC-S1を購入し、キットレンズ「LUMIX S 24-105mm F4 Macro O.I.S.」と、広角の単焦点SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporaryを使いテストしていました。
その後、3ヶ月ほど使用してカメラの使い勝手にも馴染むことができ、私のメイン機として使っていけると感じ、本格的な風景撮影用に超広角域のズームレンズを追加購入することにしました。
いくつかの広角ズームの中から選択したのは「SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art」。
比較的リーズナブルな価格ながら、大三元レンズと呼ばれるF2.8の大口径で、開放から画質も優れています。
重量が重くサイズも大きいと言われることもありますが、昔のレフ機で使用していた大口径ズームレンズに比べると軽量で、バランスの良いレンズだと感じました。
まだ、使い始めて半月ほどですし、作品用として使い込んだわけでもないのですが、実際の作例を出しつつ、簡単にレビューしてみたいと思います。
SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art A019 | Leica Lマウント | Full-Size/Large-Format ミラーレス専用
LUMIX S1 Lマウント広角レンズの候補は
LUMIXのSシリーズの歴史はS1、S1Rが2019年春のスタートとあまり長くはありません。
しかし、他社のマウントと違ってLマウントアライアンスとして、ライカSL、SIGMA fpなど複数メーカーで協業していることから、広角レンズだけでも意外にも選択肢は多い印象があります
まずは純正として下記の3玉。
LUMIX S 14-28mm F4-5.6 MACRO
LUMIX S PRO 16-35mm F4
LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6
それ以外では
SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary
SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art
Leica SUPER-VARIO-ELMAR-SL 16-35mm f/3.5-4.5 ASPH.
がありました。
ただ、Leica 16-35mmに関しては価格が70万円前後と、アマチュアカメラマンがおいそれと手を出せる価格ではないので今回は除外。
リーズナブルな価格や日常の撮影での軽量・コンパクトさを求めるのであれば「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」、「SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary」が良さそうですが、今回は風景用のメインレンズで使用予定。
将来的に高解像度機のS1RやSIGMA fpLでの使用も想定しているので、軽量さよりも描写の方を優先し、最終的に「SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art」を選択しました。
SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Artを選択した理由
最後まで純正のLUMIX S PRO 16-35mm F4と迷った結果、「SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art」を選択した決め手は、私のカメラの使用用途が動画ではなく主に写真で風景・ネイチャーが主要な被写体ということがありました。
主に下記のポイントが決め手です。
開放絞り(F値)1段分の優位性
純正16-35mm F4の解像力は非常に高いようですが、絞りはF4からとなっています。
開放絞りがF2.8となるため、1段分の物理的な優位性と1段ほど絞った時に解像力を発揮しやすいことを考慮し、画質と設定の自由度の高さを優先しました。
この「SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art」の公式サイトでのキャッチフレーズが「周辺まで均一な高い描写力と圧倒的な解像感」「星景写真用レンズの決定版」。
日の出前の時間や日没前後の薄暮のタイミング。夜間の星空などでは手ぶれ補正ではなく、物理的なシャッタースピードが優先されることもあります。マイクロフォーサーズに比べてISOの余裕はあるものの、選択肢が広いことは表現方法の広がりにもつながる部分だと判断しています。
ただ、もし私が動画やAFを優先するのであれば、これは逆になっていたかもしれないですね。
防滴・防塵・撥水防汚などネイチャー向きの機能
防水とまではいかないものの、防滴・防塵、撥水防汚コートと比較的ネイチャー向けの使用となっています。
リアフィルターホルダーを標準装備
大口径の超広角ズームレンズによくみられる特徴として、前玉が球面のようなデメキンレンズになっており、このレンズ「SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art」も例外ではありません。
旅行などで手持ちでスナップして行くような用途であれば、特に問題となるケースは少ないです。
ただ、風景用として考えた場合には少し話が異なってくるのです。
例えば、滝やうねる波など長秒露出(長時間シャッター)で動体のブレを活かした表現を狙ったり、星景撮影時に地上の光の影響で色被りを起こすケースや星を大きく撮影したいシーン。動画で開放のボケを生かしながらシャッタースピードを適正値にコントロールしたいシーンなど、多くの場合、レンズ全面にNDフィルターやソフトフィルター、光害カットフィルターを使用する必要があります。
もちろん超広角レンズもその考え方は例外ではないものの、前玉が突出しているレンズの場合、ネジ式のフロントフィルターが使えず、高額な専用マウントと150mmなど大きな角形フィルターの併用が必要になることになり、フィルターセットだけでも数万円の予算を捻出することになります。
この「SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art」はレンズ背面に小型のフィルターホルダーを装備しており、専用のガラスフィルターや市販のゼラチンフィルターなどを使用し、前面にフィルターを装備することなく、NDなどの効果を付与することができるというメリットがあります。
もちろん、ホルダーの厚みもあるので、一度に使用できるフィルターは限られるなど制限はありますが、マイクロフォーサーズで7-14mm F2.8PRO使用時に光のコントロールに苦労した経験があるため、それだけ選択肢が増え表現が広がることは、本当に大きな魅力的でした。
将来的なメンテナンスやマウント変更に対する不安
すぐにパナソニックがLUMIXのSシリーズを廃止するということはないでしょうが、カメラブランドとしてのパナソニックは、母体となる企業の規模から考えると、ライバルにメーカー比べてシェアが少なく人気がないと感じます。
ユーザーに対するサポート面に関しても家電メーカーライクであるため、カメラという嗜好品としてのサポートとしては不足しているように感じてしまう部分もあります。
時折、ネット上で入ってくる情報のように、修理の都度に数ヶ月待たされたり、混入ゴミや防滴シールのメンテナンスが長期修理扱いで、新品購入と同じレベルの修理代を請求されるようでは、懐に余裕のないアマチュア写真家にとっては厳しい部分もあります。
これは自動車などなら、プレミアムなブランドの車であっても、近場に信頼して任せられるディーラーやショップが存在していないような状態と言えます。ましてやパナソニックは大手家電の企業として投資家に対する姿勢も重要なため、今の状態ではオリンパスのようにカメラ事業売却のようなケースもあるのではと、少し不安になってしまします。
対してシグマは複数のマウントにサードパーティーとしてレンズを提供しており、1メーカーやマウントの売り上げのみに左右されない強みがあります。
また、将来的なメンテナンスやマウント変更を考えた際、Eマウントへの変更サービスを行なっていたり、国内での修理対応が可能で安心感があることも理由のひとつでした。
「SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art」実際の作例
このところあまり天候に恵まれず、スナップ的な撮影の写真が中心ですが、いくつか作例を紹介してみます。
夏の海でテスト撮影。
超広角レンズで広がりは感じられやすい反面、絵としては単調になるので、可能であれば前景を入れるなどアクセントが欲しくなりますね。
超広角のデメキンレンズは逆光の光源に弱い傾向があるのですが、雲越しの日光程度であれば十分にゴーストは抑えられていると思います。
超広角らしさを生かした早朝の風景。
前景の枝葉はシャドウを上げて明るく見せることもできるものの、今回はリアリズム重視(写真らしく)で出力しています。
こういったシーンではズームで余計なものを切ることもできるため、同じ広角でも単焦点に対してアドバンテージがあると言えます。
ゴースト・フレアが発生しやすいよう、わざと画面端に太陽を配置してみました。
RAW現像でわざとハイライトを落とし、シャドウを少し起こしたことでより、よりゴーストが目立つ設定となっています。
マイクロフォーサーズのE-M1 markIIにM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROでの撮影時は、条件によって派手なゴーストが発生していたのですが、この程度であればコントロールしやすいレベルです。
こちらは比較用にM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROで、わざと大きくゴーストを出した際の比較サンプル。
こちらも元々が抜けの良いレンズであるため描写は綺麗で、ある程度は経験でコントロールできるものの、何も考えずに強い光源をフレームインすると派手なゴーストが発生するため、「SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art」と比較すると逆光に気を使う必要がありました。
雨に濡れた砂浜の植物を撮影。
ボケにくい広角域であっても、フルサイズセンサーと最短撮影距離は280mm(28cm)と被写体に寄って撮影できるため、ボケを生かした撮影もできます。
テレ端でさらに寄って撮影。花畑のようなシーンでも使用できます。
この絵のようにF13まで絞ってもマイクロフォーサーズのF8よりボケるので、ファインダーが使えないアングルで絞り込んでパンフォーカスにしたい場合は調整が大変かも知れませんが、逆に立体感は出しやすいと感じます。
ただ広く写すだけでなく、寄れば自然なボケが立体感を出してくれるので、初心者の方はこれを積極的に活かして撮影すれば色々と楽しめるレンズです。
浜辺の近くにあった芝生が美しい休憩施設。
ビビッドでコントラスト高めの設定。歪みが少なくリゾートなど旅先での撮影には使いやすいと実感することができます。
リアフィルターを使った長秒撮影の1例。朝6時ごろに浜辺で10秒ほどの露出で撮影。
海外のアート写真のようなHDR風のプリセットで出力しています。
リアフィルターホルダーが標準装備であることで、逆光のシーンでも比較的リーズナブルな価格でNDフィルターを使うことができ、長秒露などに対応します。積極的に色々な表現を試していきたくなるレンズとも言えますね。
SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art を使ってみたまとめ
フルサイズのLUMIX DC-S1を使い始めて、階調性の良さやRAW現像時の余裕を感じている中、「SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art 」を購入してみました。
「SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art 」はフルサイズの高解像度機にも対応し、全域でシャープな描写と解像感を持ちながら14万円台で購入できます。広角レンズは難しい印象もありますが、いろいろな表現を試したくなるレンズです。
また、14万台で新品が購入できることから、高画質でありながら相当にコストパフォーマンスが高いレンズともいます。
例えば、私がこれまで使用してきた、OM Sのマイクロフォーサーズ超広角ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」は、オリンパス時代から幾度の価格改定により、現在の市場価格が16万円ほどとなっており。
そう考えると「SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art」はフルサイズ対応の高性能レンズは非常に高額というイメージを覆す1本となっています。
Lマウントのカメラを使用する方には、是非一度試していただきたいレンズです。
また、使い込んで色々な作例ができましたら、詳しくレビューしてみたいと思います。
SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN | Art A019 | Leica Lマウント | Full-Size/Large-Format ミラーレス専用
Haida リアレンズ NDフィルター ND8 ND16 ND64 ND1000 減光 フィルターセット Sigma 14-24mm F2.8 DG DN Ar...