今回は私が使用しているマイクロフォーサーズ用標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」を紹介します。
2013年の登場からかなり年月が経っているので、今更のレビューという感じはあるかも知れません。
私も2015年春に購入してE-M5、E-M1、E-M1MarkIIと3台のメインカメラで、7年以上使い込んでいます。
ただ、実際に使ってきたなかで、フォトコンでの受賞やBest Of The Best Photographers 2022 Book - One Eyeland掲載作品でも使用していたこともあり、かなり描写、コスパともに優れたオススメできるレンズの1本と断言できるものです。
それでは数年間で使用してきたレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」の特徴を紹介していきます。
標準ズームとしてのM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROの特徴
2013年11月にオリンパスから発売されたマイクロフォーサーズマウントを持つカメラ用のプロフェッショナルグレードのズームレンズです。
「pro」の指定は、このレンズがオリンパスのプロフェッショナルグレードの「M.Zuiko Pro」レンズラインナップの一部であることを示しており、高品質な構造、高度な光学設計、および耐候性の高い構造で知られています。
初代PROレンズとなる「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」は、その後のPROシリーズと共通の防滴防塵仕様になっています。
焦点距離は12mmから40mmまでの範囲をカバーし、35mm判換算で24mmから80mm相当になります。
最大口径は全焦点距離でf/2.8で、俗にいう大三元レンズの一翼を担うレンズです。
このレンズは、風景や建築物からポートレートやアクションまで幅広い撮影シーンで使用できる、高品質で多機能なレンズを必要とするプロの写真家向けに設計されています。
f/2.8の口径は、浅い被写界深度効果や暗所での高速シャッター速度を可能にし、プロ仕様の構造と耐候性の高い設計は、厳しい屋外での使用にも適しています。
とはいえ、フルサイズのF2.8に比べると被写界深度は浅めなので、ボケ重視の撮影となると焦点距離と被写界深度の関係をある程度理解していなければ、期待したようなボケを得るのは少し難しいかもしれません。
逆にある程度は写真の知識のある方なら、最短撮影距離の短さを利用した望遠端でのマクロ風撮影。テーブルフォトなどなら十分なボケを活かし。風景などでは被写界深度の深さを活かしたシャープなパンフォーカスを最低限の絞りで得ることができます。
ちなみに現在は最新のコーティングと耐候性がさらに向上した「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」も登場していますが、描写だけなら引けを取らず安価に入手できるため、初代もまだまだ現役で使えるレンズですよ。
外観の特徴
写真はオリンパス(OM SYSTEM)のM.ZUIKO DIGITALの他のF2.8のPROズームレンズと並べたサイズ感です。
左から40-150mm、7-14mm、最も右側のレンズが今回の12-40mm F2.8 PRO。
サイズは69.9mm径(フィルター62)×84mmですので、マイクロフォーサーズとしてはやや大きめで、ファインダーのないPENシリーズやGFシリーズに装備するとレンズの存在感が勝ってしまい若干アンバランスになります。
逆に電子ファインダー内蔵式のOM-Dシリーズなどなら、一眼カメラらしい容姿になりベストなバランス。他社となりますが、同じマウントでレンズを共有できるパナソニックのカメラGH6やG9PROなどにも合うレンズです。
こちらの写真は14mmパンケーキレンズ(薄型の単焦点)を装備したGM1(左)と、E-M1 markIIにM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROを装備したもの。
これで同じマウントのカメラとレンズです。
このようにマイクロフォーサーズのレンズとしてはやや大柄なレンズとはいえ、35mmフルサイズのカメラのF2.8標準ズームと比較すると約半分の重量で、価格も実売で約10万円を切るほど。
フラッグシップ系カメラのキットレンズとしても装備されており、中古の玉数も豊富で7万円前後から手に入ります。
機能的な特徴としてはPROシリーズの定番となる防滴・防塵・耐寒-10度を備え、こちらも定番になっている「レンズファンクションボタン」「MFクラッチ機構」を装備。
後発のPROシリーズレンズと比較するとやや小さめで、 小三元クラスの12-45mm F4.0 PROより少し大きく100gほど重い382g。
レンズ内に手振れ補正を内蔵し、本体の5軸手ぶれ補正とシンクロして作動するED 12-100mm F4.0 IS PROの登場以降、オリンパス(OMS)のレンズのなかでは少し影が薄くなった印象があります。
しかし、突出した性能はないものの、全ての画角でPremiumクラスの単焦点に匹敵する描写を持つ優等生レンズといえます。
実際の作例
審査制サイトで掲載されているこちらの写真なども、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROを使用して撮影したものです。
ある程度絞り込むことで非常にシャープな描写が期待できるため、風景などの撮影には重宝します。
フィルタもコンパクトで入手しやすく、持ち運びも苦にならない62mm径ということもあり、NDフィルターなども気軽に常備して渓流や滝を撮影してみるのも面白いです。
最短撮影距離 0.2mとF2.8の絞りを活かし、マクロレンズのように近接撮影することで、綺麗なボケを活かした写真も撮影できます。
SNSや旅行写真でもよく使われるテーブルフォトなどでも活躍しますね。
フィルタについても、参考にリンクを貼っておきます。高価な角形フィルターもありますが、この辺りのものでも十分に楽しむことができます。
また、E-M1mark3やE-M1x、OM1などではカメラが擬似的にNDフィルターの効果を再現するライブNDを搭載しており、フィルタなしでも上の滝のような写真を撮影することが可能です。
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M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROのメリット&デメリット
強み:
- プロ仕様の高品質な構造や高度な光学設計により、優れた画質を実現しています。
- 全焦点距離で最大口径F2.8を実現しているため、暗所での撮影や被写体を引き立たせるボケ味を表現することができます。
- 標準ズームレンズの12-40mmという焦点距離範囲は、多様な撮影シーンに対応できる汎用性があります。
- 耐久性や防塵・防滴性に優れた設計で、屋外での撮影にも適しています。
- 高速オートフォーカスや手動フォーカス時のMFクラッチ機構など、機能面でも高いレベルを持っています。
欠点:
- マイクロフォーサーズシステム用のレンズであるため、フルサイズやAPS-Cカメラでなど他のマウントのカメラで使用することはできません。
- マイクロフォーサーズレンズの中では比較的大きく重いため、携帯性に欠ける場合があります。
- エントリーモデルのキットレンズに比べ価格が比較的高価で、コスト優先だと選択肢から外れることも。
- 地方のカメラ量販店などでは入手しにくい場合があります。
- 純正フードが故障しやすいという話を聞くことがあります(私のフードはまだ壊れていません。ちなみに40-150mmフードは壊れました)。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROのスペック
レンズ構成 9群14枚(非球面EDレンズ1枚,非球面レンズ2枚、DSAレンズ1枚、EDレンズ2枚 HDレンズ1枚 HRレンズ2枚)
レンズ構成図
MTFチャート
防滴処理 保護等級1級(IPX1):弊社の防滴カメラと組み合わせたときに防滴性能を発揮します。
防塵設計。
画角 84° - 30°
最短撮影距離 0.2m
最大撮影倍率 0.3倍(35mm判換算 0.6倍相当)
最近接撮影範囲 58×44mm
絞り羽枚数 7枚(円形絞り)
最大口径比 F2.8
最小口径比 F22
フィルターサイズ Ø62mm
大きさ 最大径×長さ Ø69.9×84mm
質量 382g
同梱品 レンズキャップ(LC-62F)、レンズリアキャップ(LR-2)、レンズフード(LH-66)、レンズケース(LSC-0811)、取扱説明書、保証書オリンパス公式サイトより
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROの画質の特性は
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROの画質の特性は非常に優れており、以下のような特徴があります。
- このレンズは、14枚の要素を9群に配置し、ZEROコーティングを使用しています。これらの要素が相まって、高度な解像力、コントラスト、色再現性を実現しています。
- 全焦点距離で最大口径F2.8を実現しているため、暗い場所でも十分な明るさで撮影することができ、また、接写も可能で被写体と背景を巧みに分離するための浅い被写界深度を得ることができます。
- レンズ全体にわたって均一なシャープネスを維持し、周辺部の歪曲矯正も実施されているため、画像の歪みや周辺減光の影響が少ないです。
- ボケ味の表現も優れており、背景のぼかし方が非常に自然で、被写体を引き立てます。
- 色再現性に優れ、特に肌のトーンを正確に再現することができます。
- 標準ズームとして全焦点距離で最大口径F2.8となるため、ポートレート、風景、夜景、星空などの撮影にも適しています。
これらの特徴により、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROは、高品質な写真を撮影するための優れたレンズとなっています。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROとIIの違い
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROとf2.8 PRO IIの違いは、IIでは主に以下の点が改良されています。
- レンズの表面処理が変更され、フレアやゴーストの低減効果が向上している。
- 防滴防塵性能がアップし、レンズ表面の汚れに強く撥水性能を持たせ利便性アップ。
- レンズフードの形状が変更され、取り付けがより簡単になっている。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO総評
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROは、オリンパスのマイクロフォーサーズシステム用の高性能標準ズームレンズであり、多くの場面で使用される汎用性の高いレンズです。写真家やビデオグラファーにとっては、非常に優れた選択肢の1つです。
このレンズは、広角から標準までの範囲をカバーするため、旅行、風景、ポートレート、スナップショット、低光量下での撮影など、さまざまなシーンで使えます。また、耐久性の高いプロ仕様の造りと質感、防塵防滴構造による屋外での使用にも対応しています。
ただし、このレンズはキットレンズと比較すると比較的高価な上、重いため、持ち運びやすさを求める場合には向かないかもしれません。また、超広角や超望遠の撮影には不向きで、それらのシーンで使うためには、別のレンズを検討する必要があります。
総合的に考えると、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROは、高性能で汎用性が高く、多くの写真家やビデオグラファーにとって価値のあるレンズと言えます。
実際に私はこのレンズでウエディングフォトや商用使用されている写真も撮影していますし、風景でもコンテストで受賞したり、審査制サイトで掲載されている写真も多くあります。
しかし、あなたが撮影するシーンや撮影スタイルによっては、軽量性を重視する場合や安いレンズを探しているのなら、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mmF4.0-5.6IIや比較的手に入れやすくなった中古レンズを選ぶのも悪くはないかもしれません。
適材適所と言えますが、OM系のミラーレスを使っているのであれば、ぜひ使ってもらいたいレンズのひとつです。
機会があれば他の作例なども取り上げて、記事にしてみたいですね。
OLYMPUS 標準ズームレンズ ED 12-40mm F2.8 防塵 防滴 マイクロフォーサーズ用 M.ZUIKO ED 12-40mmF2.8PRO
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