2022年の冬に中古で入手しコンデジ並みのコンパクトさにやられ、気軽に普段使いできるカメラとして使用しているPanasonicのLUMIX DMC-GM1。
2013年発売のカメラなので、最近の機種と比べるとダイナミックレンジや絶対的な画質については劣っていることは確かでしょう。
しかし、1600万画素で普段のスナップや記録撮影においては問題になるほどではありませんし、写真の絵作りについては基本的にレンズの特徴が強く反映されるものですので、雰囲気のある写真も撮影可能です。
さて、前回の結婚式撮影のサブ機に使用して以降、常用レンズにしているパナライカ「LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH」ですが、35mm換算で30mmと標準寄り広角レンズなので、物理的に寄れない位置のものを撮影したり、少しアップで切り取りたいシーンでは、別途に中望遠域のレンズが欲しくなることがありました。
一応、私はメインカメラとしてMFT(マイクロフォーサーズ)システムの「E-M1 markII」を使っています。
撮影を依頼されることもあったので、どんなシーンでも一通りの撮影ができるよう、通称「大三元」と呼ばれる絞りがF2.8で通しのズームレンズ 7-14mm、12-40mm、40-150mmの3本は所有しています。
GM1も同じMFTですので、レンズを流用して撮影することができるのですが、このレンズ群は良いレンズではある代わりに少し重く、サイズも大きくなってしまいます。軽量・コンパクトが特徴のGM1に使用すると、レンズが本体のようになりあまりにアンバランスです。
できることならGM1や現行のコンパクト機に合わせても違和感のないレンズにしたい。
しかし、廉価機のダブルレンズキットなどに付属する望遠ズームレンズでは描写が面白味に欠けますし、いくらキットレンズが安いと言っても予算は中古で1万円前後は必要です。
そこで私は同じくらいの金額を出すのであれば、メインカメラでボケを活かした動画を撮影する際などにも使用できるレンズにしたいと「OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」を購入してみました。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8をLEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH.と比較
「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」をGM1に装備して、LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH.と並べてみました。
上の写真を見ていただくと分かるとおり、GM1のボディにベストフィット。
サイズは15mm / F1.7と同じくらいなうえレンズ径も同程度ですので、装備時にボディ底面よりレンズ端がはみ出すこともありません。
レンズのスペックは
・45mm(35mm判換算90mm相当)
・F1.8/F22
・8群9枚(E-HRレンズ2枚)
・最短撮影距離 0.5m
・ハイスピードイメージャAF(MSC)
全長46mm・最大径56mm・重量116g
上の写真で隣に並べている常用レンズとなる「LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH.」は
全長36mm・最大径57.5mm・重量115g
10mmほど長くなるものの、径と重量は大きな差はありません。
ちなみにライバルのレンズはLUMIX 純正の「G 42.5mm / F1.7 ASPH」。
こちらは全長50mm・最大径55mm・重量130gと15gほど重くなり、長さも更に4mm伸びる代わりに手ぶれ補正機能がつき、更に31cmまで寄れます。
価格差は新品だとどちらも28,000円からで同じくらい。
中古相場は現時点(2022年8月)で45mm F1.8が13,000円から、G 42.5mmが22,800円からと5000円ほど高いようです。
描写は使う方の好み次第ですが、GM1には手ぶれ補正が装備されていないので、初心者の方が手ぶれ補正なしボディで撮影するのであればG 42.5mm / F1.7が良い気がします。
私はメインカメラはE-M1 markIIで、こちらは手ぶれ補正はボディ側にありますし、長年手ぶれ補正なしカメラで撮影した慣れもあり、GM1でもそこまでシビアな撮影は行うことはないので問題ないと判断しています。
市場価格(中古) | サイズ(径×長) | 重量 | |
LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 | 5万円(3.5万円) | 57.5x36 mm | 115g |
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 | 2.8万円(1.3万円) | 56x46 mm | 116g |
G 42.5mm / F1.7 ASPH | 2.8万円(2.3万円) | 55x50 mm | 130g |
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 & GM1の描写と作例
夕日が少し山陰に隠れた頃に近所を散歩して撮影した2枚。
少し光量がない状態でも、絞りを解放近くにすることで十分なシャッタースピードを稼ぐことができます。
しっかりシャッター速度を確認して撮影するのであれば、手ぶれ補正機能がないGM1などでも、ISOを大きく上げる事なく撮影することができます。
ボケについてはフルサイズのF1.4などには及ばないものの、十分なボケ量はあり描写も綺麗なところが良いですね。
8月中旬の午前8時ごろ、山間の農村。
畑の隅に咲く朝顔。
軽くF5まで絞ることで朝顔の花が咲くエリアにピントを置いて、中望遠域の特徴を活かしつつ背景の納屋をぼかし、立体感を出すといったイメージで撮影。
このレンズの場合、開放から描写も良いので「1眼写真=ボケがプロっぽい」といった先入観で、何でもかんでもボケ優先で開放絞りにする方も多いですが、適度に絞ることでレンズの解像力がピークになるので、レンズのキレやメリハリを楽しみたいなら積極的に使っていきたいレンジです。
やや靄がかかった山間の農村の早朝風景。
ボディ側に手ぶれ補正のないGM1のようなカメラでは、手ブレを起こしやすいシチュエーションですが、慣れれば手持ちでも十分に対応できる照度です。
F5.6に絞り、解像力をピーク近くにアップさせてのパンフォーカス寄りの風景を撮影しています。
全体の風景を画面で見た状態では分からないかも知れませんが、1600万画素のGM1で撮影した場合でも、拡大することで稲の葉についた朝露がしっかりと確認できます。
現行の2000万画素機やハイレゾ撮影であれば、より解像力を活かした撮影も可能なはずです。
早めに作付けされ、収穫間近な稲穂を絞り開放で撮影。
光の当たっていた部分をより強調するため、RAWからLightroom Classicにて現像処理を行っています。
開放の場合でも描写は綺麗ですがシャープさは若干落ちます。
カリカリに解像させたい方は少し絞りましょう。
光の差した水田にて、逆光で朝露が輝く稲の葉を撮影。
F2.2とやや絞った状態でも綺麗な丸ボケが楽しめます。
RAW現像時にプリセットを適用し、少しシャドウをアップして補正してあります。
イルミネーションなどを撮影してもよさそうですね。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8は35mm換算90mmの中望遠で最短撮影距離も50cm。
外出時に食事のメニューを撮影するなど、ブログなどでよく使われるテーブルフォトを撮影する際には椅子を引くなど工夫が必要です。
かしこまったレストランなどでは少し使い勝手が悪いかもしれません。
とはいえ、家庭であれば自由にアレンジできますし、キャンプや立食パーティーなどなら特に問題なく使用できます。
ちなみに上のパスタは自宅で夕食に自炊したナスのミートソースを、テーブルから少し引いて撮影したものです。
最短撮影距離で撮影した場合、こんな感じで更に大きく撮ることができます。
あまり絵にはならないけど、インパクト重視ならこれもアリかと。
最短撮影距離が50cmなので寄れないと言われますが、物撮りなども十分可能です。
夕日が沈む時間帯に太陽をフレームから外し、やや逆光の国道を撮影。
通常、デジタルカメラで雲の表情を生かすように露出を合わせた場合、カメラ任せで撮って出しを行うと路面に光が当たっている部分を除き、前傾の道路は全て黒くツブレてしまいます。
GM1ではコントラストのコントロールやHDRは可能ですが、ハイライトやシャドウコントロール機能はないので、Lightroom Classicの現像で対応してみました。
撮影時にRAW現像前提で露出しているので、特に問題はありませんでしたが、こういったシーンの撮影はダイナミックレンジなど、カメラのスペックによって許容できる範囲が変わってくるので、そのカメラの書き出すRAWファイルのクセを知っておくと良いでしょう。
GM1だけではないですが、当時のMFTカメラは一部を除いてハイライト部は余裕がないし、シャドウもノイズが乗りやすいです。
失敗写真をRAW現像でリカバリーするような撮り方では破綻しやすい気がします。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8のレンズ自体は、かなりフレアやゴーストの耐性もありますので、抑えるところを押さえておけばこんなシーンでもしっかり撮影できます。
まとめ
まだ、数日使用しただけですが、「OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」は軽量コンパクトでGM1にもピッタリのレンズと感じました。
コンパクトで非常に軽いので、常時バッグに入れても気にならず、普段から常用している「LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7」で標準域の撮影をカバーし、よりボケを活かしたいなど、中望遠が欲しい時には活躍します。
低価格ながら画質も非常に良く作られていて、メーカーの売り文句でもある「ママのためのファミリーポートレートレンズ」との言葉通り、子供や家族を被写体にする際には、ボケを活かして人物を際立たせたポートレートを撮影することも得意です。
ただ、デメリットというほどではないのですが、できることなら「LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7」のような絞りリングが装備されていれば、GM1やエントリー機のようなコントロールダイヤルの少ないボディでも使いやすいだろうと感じます。
とはいえ、これまでキットレンズのみで撮影していた方なら、表現力のアップにもつながるので、初めての交換レンズとして使ってみて欲しいレンズとしてオススメできます。
正直、新品で3万円以下。中古で1万円台で購入できるレンズと考えると、想像を遥かに超えた描写をしてくれます。
流石に10万円以上のレンズと比較すると落ちる部分はありますが、価格や軽量・コンパクトさを重視した場合、高級レンズを凌ぐ良さもありますので、小型のマイクロフォーサーズボディをお持ちの方はぜひ手に入れてみてください。
今回はGM1との組み合わせてレビューしましたが、作例が増えてくればレンズの単体レビューとしても紹介してみたいと思います。