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ドローンの操作用語を解説「前後なのにエレベーターなのはなぜ?」

ドローンの操作

あなたがドローンの操作を覚えることになった際に覚えておきたい用語があります。
動きを表す「スロットル」、「エレベーター」、「エルロン」、「ラダー」4つの用語です。

黙々と一人で練習しているだけなら問題ありませんが、誰かと一緒に操縦について話す際や、スクールなどで動きを習うことがあるなら知っておくとスムーズに会話が進みます。

また、後半では初めて用語を耳にする方が疑問に思われる用語についても、固定翼機(飛行機)と比較して説明しています。

まずはあせらず、ひとつひとつの用語が表す意味を覚えて、技術を磨いていきましょう。

 

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ドローンの操作と用語の表す動作

 

プロポmode2

 

スロットル(高度・上昇&下降)

ドローンなどの回転翼機では高度のコントロールを表します。
つまり上昇と下降の動きを制御します。

また、手動操作での離陸、着陸の動作もこのスロットルで行います。
ドローン操作の基本中の基本ですね。

 

ラダー(旋回・舵・カメラの向き)

ドローンなど回転翼機の「舵」。
つまり車でいうところのハンドル操作です。
機体の軸を中心に左右に回転させる動きとなります。

映画製作などにも使われるInspire 2などを除き、ドローンのカメラは機体の前方に向かって固定装備されているため、撮影する被写体に向かってカメラを向ける操作は、このラダー操作にて行います。

 

エレベーター(前後・前進&後退)

ドローンなどの回転翼機の機体を前進・後退させます。

「進む」、「戻る」の動作以外に機種によってブレーキの意味もあります。

しかし、急激に前後操作を入れ替えると「フリップ(宙返り)」となったり、「機体の傾きが一定量を超えてしまい墜落する」モデルもありますので、操縦している機体の挙動を確認した上でコントロールしましょう。

ちなみに空撮機として普及しているDJIのドローンでは、スティックを離すと自動でブレーキをかけてくれます。

 

エルロン(左右・スライド)

ドローンなどの回転翼機を左右に水平移動させます。
固定翼機(飛行機)や車では不可能なカニ歩きのような動きです。

被写体と並走する「ドーリーショット」のような撮影には欠かせない動作です。

ちなみに被写体を画面に捉えながら、ぐるっと旋回していくサークルの動作はラダーとエルロンを組み合わせて行います。

 

 

用語の意味と回転翼機以外との動きの差について

ドローンの操作は前後左右と舵(回転)、上下の操作でそれぞれ呼び方があることは分かっていただけたと思います。

ここまで説明してきた用語ですが、初めて耳にした方は若干イメージが違う単語があると思われた方も多いはずです。

特にそう感じるのはスロットルとエレベーターです。

一般的に「スロットル」というと車でいう「アクセル」の印象があり、「フルスロットル」というと「全速力で前に進む」というイメージをされる方が多いと思います。

また、「エレベーター」は上下に移動する乗り物ですので、前後移動と考えると混乱する方も少なくないと思います。

ここからは直接ドローンの操縦に関わる部分ではありませんが、それぞれの用語について飛行機の操縦に当てはめると分かりやすいと思いますので、興味のある方はこちらも目を通してみてください。

 

固定翼機のスロットル

スロットル(固定翼と回転翼の違い)

スロットルはドローンの操作用語で、もっとも違和感がある単語のひとつです。

実際の乗り物も含めて、スロットルはエンジンの出力をコントロールする燃料の量を調整する装置。
つまりあなたのイメージ通り、車で言うアクセルに連動している装置なのです。

さて、ここで問題となるイメージの差は固定翼(飛行機)と回転翼(ヘリ・ドローン)の発生させた推進力の方向です。

飛行機の推進力を発生させるプロペラやジェットエンジンは上の画像のように、機体の進行方向(前後)に沿って設置されています。

対する回転翼機(ヘリ・ドローン)のプロペラはご存知の通り機体に垂直(上下)に向いて設置されています。

理由はそれぞれが飛行するために必要な力。つまり揚力(浮力)を得る方法が異なるためです。

回転翼機(ヘリ・ドローン)はエンジン(モーター)の発生させる推進力そのもので浮上しますが、固定翼機は前方へ進行する際に主翼が風を受けて、推進力を揚力に変換します。

そのため、固定翼(飛行機)では「モーターのスロットル(出力)を全開にすると推進力がアップしスピードが上がる」のに対し、回転翼(ヘリ・ドローン)では「モーターのスロットル(出力)を全開にすると揚力が増し、一気に高度をあげる」ことになります。

 

固定翼機のラダー

ラダー(固定翼と回転翼の違い)

ラダーについては固定翼機も回転翼機と同じように機体を旋回させる動作となります。

飛行機の垂直尾翼の後方についているフィンで機体の方向(ヨーコントロール)を制御するため。
船でいうと「舵」、車でいうとハンドルと同じ働きのものとなります。

大きな違いはドローンやヘリは「その場で回転することができる」のに対し、固定翼機(飛行機)はホバリングはできませんので、進みながらでなければ曲がることになります。

また回転翼機と違い急速に方向を転換する際にはラダーでは対応できないため、戦闘機などは下記のエルロンとエレベーターを組み合わせて急速旋回を行います。

 

固定翼機のエルロン

エルロン(固定翼と回転翼の違い)

固定翼機のエルロンは主翼後方についているフィンで行います。

機体を左右に傾ける働きの動作となりますので、飛行機のロールを制御するシステムと言い換えることができます。人間でいうと側転のような動きですね。

PSの人気ソフト「エースコンバットシリーズ」など、フライトシミュレーターやそれに近い動きをするシューティングゲームをプレイしたことがある方にはおなじみの機能です。
機体を前方に進行させながら、スムーズに素早く旋回する際に重要です。
なお、入門用のラジコン飛行機では付属していないものもあります。

回転翼機(ヘリ・マルチコプター)ではロールではなく左右の移動というイメージですが、動きとしてはローターの回転数を制御して左右の傾斜をコントロールします。

結果的に機体は左右にドリフトする動きとなるのです。

 

 

固定翼機のエレベーター

エレベーター(固定翼と回転翼の違い)

ドローンの操作用語で違和感のある言葉のひとつ「エレベーター」。

動作としては「機首をあげる」「機首を下げる」という動作ですのでエレベーターを呼ばれます。

固定翼機(飛行機)のエレベーターは「水平尾翼のフィンにより機体の前後傾斜(ピッチ)」をコントロールします。
飛行機は常に前進しているため、言葉の通り「機首を上げると上昇。下げると下降する」ことになり非常にイメージしやすいはずです。

対するヘリコプターやドローンのような回転翼機では傾斜させるとその方向へ推進力が発生してしまい「前後の移動」となります。

これが大きな違和感となる原因ですね。

 

まとめ

ドローンの動作に関わる4つの操作用語、スロットル、エレベーター、エルロン、ラダーを理解していただけたことと思います。

これまでなかなか理解しがたい用語だった「スロットル、エレベーター」も、動作特性と固定翼機の動作を結びつけると理解しやすくなってきます。

各動作を意識しながら、操縦技術に磨きをかけていきましょう。

 

 

 

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