スマートフォンの普及で誰でも気軽に写真を撮ることができるようになりました。
しかし、そんな中でもカメラで写真を撮るという行為は、何とも言えない魅力があると言えます。
スマートフォンではなくあえてカメラを使い、好みの交換レンズを装備して、風景や人物、動物など、さまざまな被写体を撮影することで、いつものスマートフォンでの写真から少し気持ちを切り替えて、自分だけの写真の世界を表現に没頭することができます。
しかし、良い写真を撮るためには、高品質なレンズが必要不可欠なのは確かです。
ただ、高品質とは言ってもそれは画質の話であって、必ずしも10万円以上するような高級レンズやカメラを使う必要はありません。
そこで、今回ご紹介するのは、私がコンパクトなサブ機として使っているLUMIX GM1によく使用している単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」をご紹介します。
このレンズは新品で3万円以下と非常に安価ながら、とても綺麗なボケを作ることができることから、マイクロフォーサーズの展開初期の頃から、入門用のおすすめレンズとしてよく取り上げられていました。
最近はデジカメ全体の売上不調やカメラ全体が高級志向になってきたため、エントリークラスに近いこのレンズが注目される機会は少なくなっています。
しかし、こういったコスパの優れたレンズは軽量&コンパクトながら、初心者の方でもプロっぽいと感じることができる「被写体が浮かび上がるようなボケを活かした写真」を撮影することができ、初心者がより写真の楽しさを知ることができる入り口となるレンズの1つです。
今回はM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8の魅力に迫りつつ、撮影のコツや実際に私自身が使ってみた感想などをご紹介していきます。
ぜひ、この記事を参考に、あなたも美しい写真の世界を広げてみてください。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8はどんなレンズ
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8はOLYMPUS(現在のOM SYSTEM)が販売しているマイクロフォーサーズマウント(MFT)用のレンズです。
このレンズは、ポートレート写真などに最適な焦点距離45mm(フルサイズ換算90mm)に、F1.8という明るさの高い開放値を持ち、新品でも3万円以下で購入できる非常に安価な単焦点レンズながら、美しいボケ味を生み出すことができます。
また、コンパクトで持ち運びやすく、コンパクトなボディとセットで使う場合には周囲を威圧することがありません。
そんな外見でありながら、高い描写力と解像度を兼ね備えています。
マウントは金属製ですが、外装はプラスチックなので高級感に関してはそれほどではありませんが、その分だけ軽量とも言えますし、カメラ初心者でも気負うことなく持ち出しやすいレンズと言えます。
高速かつ静音のオートフォーカスシステムMSC機構も搭載されており、静止画撮影やビデオにも適しています。
このレンズの他にも、F1.8や F1.7のコスパの良いレンズはありますが、このM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8は中望遠でですので、標準域のレンズと比較して初心者の方でも簡単にボケを活かした撮影ができるスペックを持っています。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8のメリットとデメリット
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8のメリットとデメリットについてまとめてみましょう。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8のメリット
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8の利点は以下のような部分です。
- 安価ながら美しく柔らかなボケ味で、被写体を一層引き立てる写真を撮ることができます。子供のポートレートなどにも最適です。
- F1.8の大きな開放値を持ち、低照度下でも明るくクリアな写真を撮影することができます。
- 非常にコンパクトで軽量なので、外出先での持ち運びが簡単で、カメラバッグのスペースをとりません。
- 高品質な画像を提供するため、プロの写真家のサブ機やホビーユースの写真愛好家にとって普段使いに最適なレンズです。
- 高精度で速いオートフォーカス機能を備えているため、高速AFが得意なカメラと組み合わせると動きものの撮影にも対応できます。
- マニュアルフォーカス機能が付いているため、細かい調整が必要な撮影でも高精度に対応できます。
- 価格が手頃ですが、初心者が憧れやすいプロのようなボケを活かした写真を撮影できます。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8のデメリット
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8の主な欠点は、次のような点が挙げられます。
- ズーム機能がない: このレンズに限ったことではありませんが、単焦点レンズなのでズーム機能がありません。そのため、撮影する被写体との位置関係を変えることでフレーミングを調整する必要があります。具体的には被写体を動かすか自身が動いて被写体との距離を変化させる必要があります。
- マニュアルフォーカスリングが小さい: レンズ径が小さいことからマニュアルフォーカスを調整する際に使用するフォーカスリングが小さく、精度が求められる撮影では使いにくいことがあります。とはいえ適度な重さがあり、スムーズに動くため入門用として考えるなら十分でしょう。
- ボケ味が強すぎる: フルサイズセンサーカメラの大口径レンズほどではないのですが、F1.8の大きな開放値を持つため被写界深度が浅くなり、ボケ味が強くなる傾向があります。何も考えずに全て解放絞りで撮影してしまった場合、全体的な画質に影響を与えることがあります。
- 耐久性が低い: 特に壊れやすいという意味ではありません。見た目を気にしないのであれば特に問題はありませんが、ボディーがプラスチックでできているため、他の一部のレンズと比較して、側面に傷などが付きやすく耐久性が低いと感じることがあるかもしれません。
- 同じpremiumレンズシリーズの一部や高級レンズにあるような、絞りダイヤルや距離目盛はついていない。ただし、その分安価になっているのである程度妥協は必要かと思います。
これらはM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8の欠点の一部ですが、全体的に見て、このレンズは高品質な画像を提供してくれることや、コンパクトで手頃な価格であるため、多くのアマチュア写真家にとっても優れた選択肢と言えるでしょう。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8はどんな人におすすめ
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8は、以下のような人におすすめできます。
- ポートレートを撮影することが好きな人: このレンズは中望遠の焦点距離で被写体を大きく撮影することができ、美しく柔らかい背景や前景のボケ味を生み出すことができます。そのため、カメラ初心者の方が最初に購入するポートレート写真用のレンズに最適です。また、猫など適度な距離感を保ちつつ動物たちを撮影するのにも適しています。
- 高画質な写真を撮りたい人: このレンズは安価ながら非常に高い解像度を持っています。コンパクトなボディで高品質な画像を提供するため、普段はフルサイズを使用しているプロ写真家やホビーユースの写真愛好家が、普段使いとして常備するMFTカメラの中望遠レンズにも最適です。
- 軽量でコンパクトなレンズが欲しい人: M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8は、コンパクトで軽量なので、外出先での持ち運びが簡単です。
- 低照度下での撮影を頻繁に行う人: F1.8の大きな開放値を持っているため、低照度下でも明るくクリアな写真を撮影することができます。
- 中距離で動く被写体を撮影することが多い人: 高精度で速いオートフォーカス機能を備えているため、AFの強いボディと組み合わせることで、動く被写体を撮影することも可能です。
これらのような人におすすめのレンズですが、M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8は汎用性が高く、他にも多様な撮影シーンで活躍することができます。
何よりもコストパフォーマンスが良く、どこにでも持ち運べることから、初心者の方なら標準ズーム+1本で持っていても損はしないレンズと言えます。
メーカーのサイトでも「美しい背景ボケを、手軽に楽しめる。ママのためのファミリーポートレートレンズ」とあるように、初めて購入した手頃な価格のマイクロフォーサーズマウントのミラーレスカメラに追加して、お子さんなどの身近な被写体をレンズ交換式のカメラらしい「ボケを活かした写真」を撮ることができます。
比較的安価でボケを得られるレンズとして、パナソニックの「LUMIX G 20mm/F1.7 ASPH.」もありますが、こちらは焦点距離が標準域(35mm換算40mm)となるため、そちらとも使い分けることが可能です。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8の画質が悪い解像感がないと感じたら
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8は海外のレンズレビューサイトLensTipなどで測定された数値を見る限り、並のズームレンズを凌駕する解像力を持っており、一部のカメラマニアやプロなどを除けば一般的なユーザーにとって、解像力が不足することはないはずです。
いわゆるメーカーの広告記事ではないカスタマーのレビューサイトでも良好と言われていますので、その評価は正しいといえるはずです。
ただ、一部で「描写が甘い」「解像感がない」というレビューもあります。
レビューを書いたユーザーのレベルはもちろん。製品の当たり外れもありますので、一概に断定できるわけではないのですが、もしそう感じたら下記の対策を試してみてください。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8が解像感がないと感じた場合、以下の点を確認してみることがおすすめです。
- 焦点(ピント)の合わせ方: レンズの焦点を合わせる際に、正確に合わせているかMF(マニュアルフォーカス)やボディのピーキング機能などを利用して確認してみてください。
- ブレによる解像感の低下: 屋内など光量が少ないシーンや感度を低く設定した際にはこのレンズは手ぶれ補正を内蔵していないため、手振れが原因で写真がぼやける可能性があります。ボディの手ぶれ補正がオフになっている場合はONに設定したり、必要に応じて三脚や一脚を利用してブレを抑制してみましょう。
- 絞りの設定: レンズの絞りを開放値(F1.8)から2.8や4などに少し絞り込んでみてください。絞りを絞ることでボケの量は少なくなりますが、レンズの解像力のピークを使うことが可能であるとともに、被写界深度が深くなり被写体全体がシャープに写るようになります。
- ISO感度の設定: ISO感度が高すぎる場合、ノイズが発生し、解像感が低下する可能性があります。ISO感度を下げることで、よりクリアな画像を得ることができます。
- シャッタースピードの設定: シャッタースピードが遅い場合、手振れや被写体の動きによるブレが発生し、解像感が低下する可能性があります。シャッタースピードを上げることで、クリアな画像を得ることができます。
- フォーカスポイントの位置: フォーカスポイントが被写体に合っているか確認してみてください。被写体が動いている場合は、フォーカスポイントを被写体に合わせて移動させることで、より鮮明な画像を得ることができます。
ちなみにしっかりとした撮影姿勢を取れる人であれば、手振れ防止機能なしでブレないシャッター速度の目安は一般的に「1/焦点距離」秒と言われています。
しっかりしたグリップを備えるボディと比較して、小型軽量なボディはよりブレが発生しやすくなることもあり、初心者の方であれば1/100以下のシャッタースピードをキープできる設定を模索しましょう。
これらの確認を行い、問題が解決しない場合は、カメラやレンズの故障の可能性もありますので、身近に同様のレンズを持っている方がいれば同じ設定で画質を比較したり、メーカーへの修理や交換依頼も検討してみてください。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8の作例
実際に私がM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8を使って撮影した写真を紹介します。
風景からテーブルフォトのような近距離写真。夜景などの暗所なども掲載しますので、ボケ感などの参考にしてみてください。
また、カメラボディは最新のものではなく数世代前のカメラで、2016年発売のE-M1 markIIと2013年発売のGM1を使用しています。
中古であれば数万円で入手できる比較的入手しやすい価格帯のカメラですので、これからカメラを始める方の参考になると幸いです。
まとめ
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8は、美しいボケ味と鮮明な被写体表現が可能な、優れた描写力を持ったレンズです。
コンパクトなカメラと一緒に常備して、ポートレートや料理、風景など、様々なシーンで活躍することができます。
また、コンパクトで軽量なため、持ち運びにも便利です。
あなたが興味を持ったなら、是非このレンズを使って、あなたならではの写真を撮影してみてください。
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8が、新たな写真体験を与えてくれることでしょう。
LUMIX GM1と組み合わせて使ってみた記事もこちらに掲載しているので、他の作例などにも興味がある方は併せて読んでみてください。